自己分析のやり方おすすめ14選―独立した立場だから言える本当のこと

以前、仕事や人間関係でうまくいくには「自己肯定感」は必須であるという話をしました。今回は、その中で少し触れた自己分析のやり方を、性格・適職診断テストの信頼性や、私自身の実体験や感想、”就活”業者の抱える「大人の事情」まで考慮して、しがらみのない独立したの立場から紹介していこうと思います。遊びで性格テストをやってみたい人からビジネスで突破口を探している人、心に深刻な問題を抱えている人まで、ぜひ参考してください。

はじめに

さて、「自己分析のやり方」を探そうとすると、現状では、情報源は「リクナビ」のような”就活”情報サイトや書籍、セミナーがほとんどとなっています。あなたがGoogle等で検索した時、結果に出てくるのは”就活”関連サイトばかりだったのではないでしょうか?

世間ではもっぱら「学生がやるもの」と認知されている自己分析。確かに、誰しも職業を選ぶ場面では、個性や能力、興味関心から候補をしぼっていくことになるでしょう。

自己分析はこんなに様々な目的で利用されている!

しかし本当のことを言うならば、自己分析は”就活”の部品だというわけではありません。

実際には学生以外でも、

  • 起業家や経営者が、物事のとらえ方や人との接し方のどこをどう変えればいいかを明らかにするため
  • ビジネスで、社内チームの人間関係改善するため
  • 医療の場で、心的外傷や困難な過去を背負った方の心理療法の一環として
  • 恋愛や友達、家族など、人間関係を良くするヒントを探したいから
  • 人間の性格のパターンに興味があったから
  • 気軽な遊び

など、じつに幅広い目的で利用されています。

”就活”業者が教えるやり方の問題点

にもかかわらず、自己分析のやり方に関する情報が”就活”業者にかたよっているのは問題です。彼らの都合が反映され、情報にゆがみが生じてしまうからです。さらに、このような業者が用意した性格や適職の診断テストでは、結果が意図的に誘導されることもめずらしくありません。

問題点は他にもあります。”就活”業者のサイトや書籍に載っている自己分析のやり方では、内面のデリケートな領域に踏み込むことや、個人のプライバシーに関わることがことごとく避けられているのです。これは業者の都合です。彼らの目的は、”就活”イベントをまるくおさめること。そして究極には、金銭的利益です。そういった都合を叶えるためには、学生の個人的な悩みや、「10年前から父親がアルコール依存症で、今借金が〇〇万円ある」といったデリケートな問題には触れたくないのです(第一、”就活”業者は精神医療では素人なので、対処能力を持っていない)。しかし、それでは骨抜きです。自分を掘り下げることができません。

”就活”特化で効率的、とはいえない理由

こう聞くと、学生の読者には、もしかしたら受験勉強のような感覚で「そのほうが”就活”に特化していて効率的なのでは?」という考えが頭をよぎった人もいるかもしれません。

その点についてクリアにしておくと、私は何も”就活”業者が提示するやり方は全くダメだと言っているのではありません。ただ、みんなで足並みをそろえてやる以上、内容はどうしても当たり障りなく最大公約数的になってしまいます。それに前述の通り、個々の事情や思いは考慮してくれません。言うならば、40%くらいしかできない、という感じでしょうか。

後述しますが、仕事で成功するかどうかは、いかに自分と合った職業・職場を見つけられるかにかかっていると言って過言ではありません。仕事でうまくいきたい、幸せに生きていきたいと思うなら、”就活”業者はその程度のものと見て、自分自身でしっかりと行うことが大事です。

私が「非公開」をおすすめする理由

そしてもう一点、周りの環境も重要です。

過去の体験を紙に書き出したり、心理検査のマークシートに向かったりする時は、たとえ内面的な問題やプライバシーが表面化しても困らない、安全な環境を整えるようおすすめします。なぜなら、そうでなければ分析をフルに行うことができないから。ただの遊びならみんなでワイワイ見せ合ったりしてもいいですが、真剣な場合、それでは友達のために将来の可能性を捨てる羽目になりかねません。だから私は最初に、あなたが自己分析をするときは、その過程や結果は「非公開」を基本にすることを強くおすすめしたいと思います。

「あなたは誰?」と英語で書かれたスケッチブックとペンと観葉植物と丸めた紙
自分を掘り下げるのは、安全な環境で、静かにやること。

本来、自己分析は、自由に、自発的に、一人で行うことです。どんな目的でやるにせよ、まずは心をよくよく耕すこと。そうやって発見した頭の中身のうち、どれは他人に教えてもいいか、公開するなら誰までオーケーか、そして何は心の中にそっとしまっておくのか。それは安全性やプライバシーなどを考慮して、後から決めればいいのです。

特に、もしあなたが心理面で複雑な事情をかかえている場合は、素人の茶々入れで傷ついたりしないよう、必ず専門家のサポートを受けてください。

自己分析のやり方を「独立した立場から」解説

それではいよいよ、自己分析の具体的なやり方を「独立した立場から」解説していこうと思います。

「独立した立場」とは、”就活”関連産業としがらみがない、ということ。業者の都合による情報のゆがみを正すため、書き手として独立性にこだわりました。

性格診断・職業適性診断

以前書いた「自己肯定感を高める10話」の第9話では、自分を映す「鏡」となるものをざっと11個リストしました。性格診断と適職診断は、その11個のうちの2つです。

参考リンク:自己肯定感を高める方法を探しているあなたへの10話

そう聞いて「なら診断テストも使っていいんだ」と疑いが晴れたように感じた読者もいれば、「じゃあ他のやり方が9個もあるの?」と驚いた人もいるかもしれません。

診断結果との付き合い方―絶対の心理テストはない

結論を先に言ってしまうと、性格や適職の診断テストがあなたの自己分析にとっていいものになるか、それとも害になってしまうかは、結果との付き合い方にかかっています。

というのも、心理学において、100%完ぺきなアセスメント(検査)は存在しません。たとえ心理学研究に基づいて一定の信ぴょう性が認められている検査であっても、です。なぜなら、検査結果は、限られた場所と時間に表れた、あなたの一部でしかないから。あなたは、シートに載っている「あなたの性格」とは違う面をたくさん持っているはずなのです。

言うまでもないのは、「占い型」の心理テストには信ぴょう性がないということです。「占い型」というのは、血液型占いや、「このドアを開けたら何があると思いますか? A:暖炉、B:キッチン……」というような心理テストのこと。もちろん、楽しむ分には全然かまいません。でも、これらはたいてい、娯楽向けに心理学のごく一部を切り取っただけのものです。それどころか、顔も出さない誰かの空想にすぎないことも少なくありません。結果に信頼性と妥当性がないのです。

心理学的検査の結果は、あくまで「道具」です。もし結果シートを手にして「そうか、私は○○タイプだからこうなんだ」と決めつけるとか、「あなたに向いている職業ベストスリー」を進路希望にしたりするなら、それは本末転倒。振り回されたり、従ったりするのなら、人と道具の上下関係が逆転してしまうからです。

しかし、本末転倒に陥らない限りであれば、こうした心理診断には利用価値があります。以下で私の実体験や感想からお話ししますが、良質なテストになれば、それまで見えていなかった一面に気付く良いきっかけになるからです。

診断テストを選ぶ際のチェックポイント5点

では、世に氾濫する診断テストでは一体どれが役に立つのでしょうか? 実際にテストへ進む前に、注意すべきポイントを、全部で5点挙げてみます。

  1. その診断テストの信頼性と妥当性はどうか:心理学研究や過去のデータなど根拠が明確な検査と、誰かがなんとなく思いついてネットにあげた「心理テスト」では、信頼性と妥当性に雲泥の差があります。
  2. 診断テストごとの特色や、想定された利用目的を考慮する:興味関心を洗い出すものはやりたいことを探している人に向いており、能力面の適性を調べるテストは得意不得意を知りたい人、性格分類論なら人生の方向性や人間関係を考えている人がやれば満足度が高くなるでしょう。
  3. 個人情報には細心の注意を(とくにネット上!):おもしろそうな性格診断をうたってあなたの個人データを収集、利用する悪質な業者や心理学研究者がいます。特にネット上では、ワンクリックでポチッと送信してしまう前に、相手は何者で、プライバシーをどう扱っているか必ずチェックを!
  4. 診断テストの提供者は誰か。その背景事情を考慮に入れる:たとえば求人サイトに付属している診断テストだったら、サイト運営業者には「ユーザーといずれかの企業をマッチングさせたい」というビジネス上の都合があります。その都合を叶えるために、あなたの心を誘導しようとする可能性があります。
  5. 1種類だけでなく、複数のテストをやる:1つの検査を妄信しないためには、複数のテスト結果を比べること、また、心理学的検査以外の自己分析(後述)とも照合して、総合的に判断することが大事です。

肩ひじ張らず、目くじら立てず、のみこまれず。性格診断・適職診断の類は、オープンな心で気軽にやってみるのがいいでしょう。

私がおすすめできる4つの診断テスト―結果の活用法&リンク

私がやったことのある性格や適職の診断テストで、おすすめしていいかなと思うのは以下の4つです。リンクも付けておきますので、よかったらそのまま挑戦してみてはいかがでしょうか。

エゴグラム

一つ目は、「エゴグラム」。これは精神医学・心理学における代表的な性格診断です。医療をはじめ、学校やビジネスなどの場面でも広く用いられています。

私は高校のころ、心理学に興味のある友達から「ちょっとやってみてよ」とプリントをもらってやりました。この時は「自分に厳しい性格だ」というような、ちょっと意外な結果が出たのをよく覚えています。

精神医学・心理学由来の診断ならではのメリットは、主観や先入観がはさまらないゆえ、自分の知られざる一面を発見できることだと思います。100%絶対の心理学的アセスメントは存在しないといえ、エゴグラムは信頼の面で安心できるものの一つといえるでしょう。

外部リンク:エゴグラム無料診断

エニアグラム

二つ目は「エニアグラム」。ビジネス心理において人気が高く、グローバル企業の社内でも活用されているといいます。また日本の”就活”サイトでもよく挙がっているので、みなさん耳に挟んだことがあるかもしれません。

外部リンク:簡易タイプ診断

文脈としては性格分類論の一種と位置付けられ、起源は古代ギリシア哲学など。近年ブームのエニアグラムがつくられたのは1970年代以降のアメリカです。

私は最近、SNS上の知り合いから聞いたのをきっかけにやってみました。ちなみに私はタイプ3か5。だいたいそんな感じの人がコレを書いています。

ただ、エニアグラムに関しては留意すべき点を指摘したいと思います。質問紙形式がとられ、心理学的・精神医学的なことがいろいろ書かれているとはいえ、この性格分類論は基本的には「占い型」だということです。また、作成した人たちの傾向により神秘主義的な内容が多く含まれるので、人によって好みは分かれるかもしれません。

とはいえ、エニアグラムをやってみた多くの人が「当たってる!」と感じているのは事実のようです。私も「なるほどなぁ」と思うところがたくさんありました。自分と違う性格タイプの解説は、人間の思考や感情のパターンを把握するための読み物として面白かったですね。性格分類の試みは人類古来より存在しており、古代の人々がその時代なりの方法で人間をよく観察しているのは文化や芸術が示す通りです。私が紹介する4つのテストのなかでは最も留意が必要ですが、全面的に否定するのではなく、オープンかつ気軽な心でやってみる価値はあるのではないでしょうか。

16 Personalities

三つ目は「16 Personalities」です。SNSのビジネス・起業家界隈で「すごく当たる」と評判になった性格診断で、「指揮官」「仲介者」「冒険家」「エンターテイナー」といった16のキャラに分類してくれます。

16 Personalitiesの日本語サイトのスクリーンショット
「16 Personalities」日本語トップページ

外部リンク:16 Personalities(診断の選択肢と総合結果は日本語あり。長所と短所、キャリアなど詳細な解説は英語です。学生さん、「英語なら読める!」と自信をもって!

ベースはユング心理学およびMBTI(今日最もよく使われている心理検査の一つ)で、提供者はイギリス拠点の心理学者兼ビジネスコンサルタントです。すでにあった心理学的アセスメントを楽しくするため16タイプのキャラに仕立てたものだといえるでしょう。土台にはきちんとした心理学研究があるので、信頼の面では手堅さがあります。

私が「16 Personalities」をやったきっかけは、こちらもSNS上の知り合いでした。ちなみに私は何度やっても「建築家」タイプ。めずらしいそうですね! ……しかしまぁこの「建築家」プロフィール、私の表現活動や思考法そのまんまなので思わず吹き出してしまいました。このテストがどれくらい「当たる」かを確かめてみたい人は、試しに「建築家」プロフィール私の活動紹介を照らし合わせてみてはいかがでしょうか。

「16 Personalities」のおもしろさは、診断結果それ自体だけではありません。海外の若い人がどのように仕事や人生を考えているかを行間から読みとれるので、日本人にはとくにおすすめしたいと思います。

大手”就活”業者による関心・適性の診断テスト

最後は、某大手”就活”業者が作成した高校生向けの適性診断です。「進路を決めるのに役立てて」と、高校の進路指導部がホームルームで用意したものでした。

内容的には、興味のある学問分野と向いている職業を洗い出すような系統です。

残念ながら結果シートは捨ててしまったようなのですが(もったいなかった!)、私の向いている職業1位が「小学校の先生」だったというのは覚えています。ただ私の興味関心は別のところで固まっていたので、実際に小学校の先生になろうとしたことはありません。その時のクラスには、物腰からしてイラストに描かれた秘書みたいな子がいたのですが、彼女の向いている職業1位がズバリ秘書だったというので、周りの子たちが「合ってる、合ってる!」と笑っていたのが印象的ですね。

前述の通り、テストの制作者が”就活”業者であれば、裏には「大人の事情」があります。内容的にも当たり障りなく、最大公約数的ではあります。とはいえ一応は過去のデータに基づいて作成されているので、ある程度「当たる」ことには当たります。こうしたおおざっぱに自分の傾向を知ることができるテストは、チャンスがあったら一度くらいはやってみて損はないのではないでしょうか。

こんな適職診断はアテにならない!

では、最後に笑えるオマケのエピソードを。これは昔、某大手アルバイト情報サイトに設置されていた、簡易的な性格診断でのお話です。

私がやってみたところ、「あなたは独立独歩型の性格です」という文がちょちょっと表示され、その下に「このタイプのあなたに向いている仕事」がザーッと出てきたのですが――

全部タクシー運転手ってなんでやねん! タクシー、タクシー、タクシー、タクシー、世界はこんなに広いのに私に向いてる仕事がタクシー運転手以外一つもないってどういうこと!?

えー、読者のみなさん、これが業者の「大人の事情」です。

だから診断結果には一喜一憂しないで。

あなたの人生を決めるのは、診断結果でも業者でもなく、あなた自身なのです。

自己分析は身一つで簡単にできる!

以上の通り、心理学的検査には、きちんと根拠があり、社会で信頼性が認められているものがあります。これなら今まで気付いていなかった自分を見せてくれるはず。特に医療で使われている本格的な検査は、真剣な人には魅力的ではないでしょうか? ただ、一般的には有料ですし、医療現場でないとなかなか触れられなかったりと、敷居は低いとは言えません。

しかし、本来、自己分析は身一つでできます。心理学的な検査は絶対ではありませんし、本も、サイトも、セミナーもいりません。むしろ、「大人の事情」だらけの業者ならかえって混乱を招くくらいです。

本もサイトもセミナーもいらないやり方10選

というわけで、ここでは自己肯定感について書いた時にリストした「自分を知る方法」を10個、ブラッシュアップして紹介します。

  1. 友達、先生、家族や知人が何と言ったかを書き出してみる(それぞれ信ぴょう性の度合いも考慮する。参考になる言もあれば、先入観や、相手の都合にすぎない場合もある)
  2. まったく知らない人たちのなかに入ってみる(人の性格は、状況によってある程度変化する。なので周りの環境を変えれば、自分の新たな面に気付いたり、普段の言動を客観化することができる)
  3. 異なる文化を学んだり、異文化交流をしてみる(文化や歴史から受けた影響を発見できる可能性がある)
  4. 生まれ育った家庭の傾向(家族メンバーそれぞれが生まれた年、育った時代背景、受けた教育、職業など)を分析して、それが自分にどう影響したかを考える
  5. 勉強して世界を広げる(当たり前だと思っていたことがそうではないと明らかになったり、考え方の偏りに気付いたりできる)
  6. 今までにやったことのない新しいことに挑戦する(向くこと向かないこと、好きなこと嫌いなことの方向性が見えやすい)
  7. 物語、音楽、絵画、芝居などアートに触れる。作者が何をどう見たのかを理解する(他者の考えに触れられるし、頭や心のキャパシティを広げられる)
  8. 絵や詩など、何でもいいので作品をつくってみる(作品には必ず自分らしさが表れる)
  9. 好きな音楽、マンガ、映画、小説などについて、それのどういうところが好きで、世の中的にはどういう人がそれを好んでいるのかを考えてみる
  10. 「自己分析のやり方」を読んだら、自分なりの感想を持つ

いかがでしょう。「自分を発見しよう」という意識をもって少し注意していれば、世界のじつにさまざまな事象があなたを映す「鏡」になってくれます。自己分析というのは、様々な「鏡」をのぞくことで、ひたすら自分を客観化していく作業なのです。

上で挙げた10通りは例であって、なにもすべてではありません。思うままにいろいろアレンジしてみるといいでしょう。

こうして得られた様々な情報を組み合わせ、考えて、自分の個性を掘り下げていく――それが本当の自己分析です。

自分を知ることが就職・転職成功のカギとなる理由

冒頭では、自己分析は”就活”のパーツではない、と言いました。でもやはり気になる読者は多いと思うので、ここでは就職や転職にピンポイントをしぼってお話ししようと思います。

私は、「有能な人」とはとどのつまり、「自分に合った職業を見つけた人」のことだと思っています。なぜなら、人は、得意なことなら無理しなくても力を発揮できます。また働いていて楽しいし、やる気が出るので進んでスキルアップしていける。逆に、好きでないし向いていない仕事に就いてしまったら、苦戦を強いられる上、就業時間は苦痛ばかり、結局は退職せざるを得ない方向に……。人生に生じるこの落差は激しいので、職業選択は重要です。「そうそう、職場が合ってなくて、このままではどうにもならない気がする!」とうなずいた読者もいるでしょう。

宇宙飛行士、エンジニア、コック、メダリストなど様々な職業の人が手をつないでいるイラスト
どんな職種にも就ける人はいない。自分に合った仕事を射止めてこそ輝けるし、成功にもつながっていく。

さらに、職場での人間関係もそうです。働く場所は、カラーが肌になじみ、上司や同僚と気が合えば長続きしやすくなります。これらの結果として、さらに成功を重ねていける。どんどん好循環に入っていけるのです。これが合わないとなれば、全てが裏返しに……。ここも落差は激しいです。

私たちの生きる現代社会には、職業の種類は数えきれないほどたくさんあり、働く場所も把握しきれないほど存在しています。仕事でうまくいくためには、その中からなんとか自分に合った仕事を探し当てたい。そのためには、個性や適性を知ること、つまり自己分析が必要になってくるのです。

では、自分に合った職業はどれなのか。上記のような様々な方法で発見した個性は、考えるための素材です。素材をたんまり手に入れ、机に広げたら、「この個性を生かせるのはどの職業なんだろう」、もし起業志向なら「これをお金=ビジネスにつなげるにはどうすればいいだろう」という順序で考えるのがコツです。

答えは全員違いますし、一つではありません。先入観を捨てて、柔軟に探ってみてください。「これだ!」という仕事をピックアップできたらいいですね。グッド・ラック!

個性に優劣はない―欠点を知るのが怖い人へ

私は以前、心理学に詳しい知人から、世の中には自分を知ることをすごく怖がる人もいると聞いたことがあります。欠点を知るのが怖い、悪いところを直視したらもう自分に自信を持てなくなってしまう……というのです。もしかしたら、読者の中にもそういう方がいるかもしれません。

しかし、その心配はまったくご無用です。

なぜなら、個性や性格というのは優劣や良い悪いのない「特徴」だからです。それ自体は中立で、あとは表れ方次第。長所と欠点は表裏一体なのです。

なので、もしあなたが自分の性格を嫌っているとしても、それを良いほうに生かす方法は必ずあります。まだ気付いていないだけで、実はそのおかげで得をしている場面もたくさんあるはずなんですよ。

たとえば、もしあなたが「内気で他人にものをハッキリ言えない」と悩んでいたとしたら、その背景には「友達からの誘いを断れず、全然興味のないイベントに行くことになってしまった」とか「我慢しすぎたら後になって『何で先に言ってくれなかったの?』と同僚をかえって怒らせてしまった」といった出来事があったかもしれません。しかしその裏には、周りの人間関係を荒立てないですんだ場面などもあったはず。さらに、あなたの抑制的な性格は、「ものをハッキリ言いすぎてしょっちゅう相手を傷つけてしまう」と悩んでいる人から見れば、むしろうらやましいかもしれません。

もし「うんとかたよってしまった性格を調整する」というなら、それは人間関係の改善などに役立つことがあります。たとえば、内気なせいでトラブルになった人なら「事前に伝えるべきことはないかを考えて、それだけはハッキリ言うようにしよう」、また反対にズバズバ言いすぎて相手を傷つけてしまう人なら「口に出す前に立ち止まって、言い方がきつすぎないかを考えるようにしよう」といった感じに調整すれば、対人関係はぐっとスムーズになりそうですよね。しかし、それはあくまで「バランス調整」です。もし性格=特徴を消すなんていうことが可能なら、あなたは長所も失ってしまうでしょう。

人の個性に関することに、「欠けている部分を埋める」とか「直す」という発想はありません。本当に考えるべきことは、「その特徴をいかに良いほうに出していくか」なのです。

自分に良い悪いをつける考え方を捨てて、ありのままの「特徴」を見る。次に、「では、それをどう使っていこう?」と考える。他人との優劣という概念のない自己分析は、こうして自己肯定感を高め、世界にたった一人の自分にとっての幸せを育てるスタートラインになるのです。

結びに―自分の幸せを育てる第一歩

性格や個性を知ることは、古来よりいつでも多くの人の関心の的となってきました。ある時は、人間というものに対するシンプルな好奇心のため。ある人にとっては、生き方探しのワンステップ。あるいは、人間関係がこじれてしまった人には、目の前の問題を解決する道具として……。自分と向き合うのは、基本的に楽しいことであり、生きていくために必要なことでもあるのです。

個性は一人ひとり違います。そしてすべての個性は仕事に活かしたり、人の役に立てることができます。幸せの形も、個性によって様々です。あなたも自分の個性を知って、人生を幸せにしてくださいね。

関連記事

著者・日夏梢プロフィール||X(旧Twitter)MastodonYouTubeOFUSEではブログ更新のお知らせ等していますので、フォローよろしくお願いします。

自己肯定感を高める方法を探すあなたへの10話 – 「自己肯定感」についてはこちらです。

”就活”をつらいと感じるのは自然―学生に負担を負わせる構造ポイント3点 – ”就活”業者の都合や発信する情報のゆがみを厳しく指摘しました。

マインドフルネス瞑想のやり方と効果と徒然 – 話題のマインドフルネスについて、やり方の解説とともに、ビジネス向け自己啓発との付き合い方を、こちらも独立した立場からお話ししました。

有名子役のその後や未成年ユーチューバーから考える「子どもにやらせる」産業の倫理 – 後半部はすべて中学受験・小学校受験産業のモラルについてです。いま社会で問題となっている、低年齢から偏差値で振り分けられる”お受験”の世界を生きてきた人が就職で「やりたいこと」を問われてつまづき、内定を得られなかった、というケースを論じました。

『最高の人生の見つけ方』あらすじ解説と感想―生き方を論ずること – 人気映画のレビューです。人生が終わるまでにやってみたいことを考え書いていく「棺おけリスト」は自分を知るためにぴったりでしょう。

オウム真理教元幹部・死刑囚の言葉から得られる教訓 – どう生きようか、どうすれば人の役に立てるだろうか。それは「24時間働けますか」の80年代にも多くの若者の関心事でした。そんなやる気や希望や悩みを食い物にする悪質な団体、その最たる例がカルト宗教・オウム真理教だったといえるでしょう。重い事例です。併せてご覧ください。

上野動物園のパンダまるっとガイド―名前や個性から待ち時間まで – これは余談なのですが、人間だけでなく、動物もみな性格や個性は一匹一匹違います。この記事では上野動物園のパンダそれぞれの性格や個性について書きました。「生き物としての人間」というのも面白い視点。あなたの悩みに光明が見つかるかもしれませんよ。

トップに戻る