年齢で追う尾田栄一郎さんの経歴と『ワンピース』の歴史

先日『ONE PIECE FILM RED』の映画レビューを執筆した際、読者から大きな反響をいただいた。その時にも少々触れた『ワンピース』作者・尾田栄一郎さんの経歴や変化を、あらためて、年齢を追う形ですべてまとめたいと思う。

様々な事情を考慮した結果、本稿では筆者の主観は最小限にとどめ、事実を淡々と記述していくことにした。どういうことに何を思うか、またどういう部分が情報として有益かは、読者の立場や興味関心、アーティストなら創作環境やスタンスなどによって千差万別だと思われるので、それぞれ自由に読んでもらえればと思う。

(※以下には、『ワンピース』の作品紹介と、世界設定・キャラクター設定への言及、セリフやコマの引用があります。ストーリーの展開は記載していません。また、本稿はマンガ家の生い立ちやバックグラウンド、創作環境、創作姿勢やその変化を追った話なので、ファンの方はもちろん、作品の中身を全く知らない方でも支障なく読むことができます。)

目次

年齢順でみる尾田栄一郎さんの経歴

生まれ・生い立ち

尾田栄一郎さんは、1975年1月1日、熊本県熊本市に生まれた。2023年現在の年齢は、48歳である。

夢はマンガ家

尾田さんは子どもの頃からマンガが好きで、『北斗の拳』『キャプテン翼』など数多くの作品を読んで育った。なかでも中心的だったのは「少年ジャンプ」のマンガで、『ドラゴンボール』作者の鳥山明さんをとても尊敬していると様々な機会に話している。

マンガ家になると決めたのはこの世にマンガ家という職業があると知った4歳のころで、本格的に描き始めたのは中二くらいだという(『ONE PIECE』4巻「SBS」)。

落語、時代劇、任侠映画。「昭和の娯楽」という一風変わった趣味

そんな子ども時代には、マンガ以外にも好きなものがあった。尾田さんは、小さいころから落語、漫才、時代劇、任侠映画の大ファンとして知られている。

スタジオジブリの鈴木敏夫さんとのラジオトークでは、

大元をたどって行くと落語とか漫才なんですが、子供の頃から古いものばかり見聞きしていて。(中略)少しヘンな子供だったかも知れないですね。

と答えている。また、このトーク内で担当編集者(当時)の大西さんは、マンガ家になる人はマンガを読んで育った人が多いという受け答えに対して、

でも、やっぱりそうじゃない人の方が売れるんです。何らかのオリジナリティが出せないと、尾田さんのようにガーンとは行かないですね。

と評している。(『ONE PIECE BLUE DEEP CHARACTERS WORLD』260 – 264頁)

確かに、落語や漫才、時代劇、任侠映画が好きな小中学生は大変少ないので、一風変わった文化的バックグラウンドを持っているとはいえる。

他方、見方を変えれば、それらとマンガは全て大衆娯楽の範囲内でもある。

さらに、古典落語や時代劇には、身分の差(=人間の存在価値の差)を前提とした表現や、様々な人に対する差別表現が、普通のこととして断りなく出てくる。たとえば、武士の間には生まれながらに上下があり、下の人は上の人にひれ伏したり、敬語でしゃべったりする。また代表的な古典落語『寿限無(じゅげむ)』の冒頭の句は、「初めての男の子が生まれて大喜びの父ッつァん」である。子どものころから落語や時代劇ばかりを見聞きしていたということは、十分な知識や判断力がないうちから、そのような情報を大量摂取していたことになる。

高校から大学時代

高校在学中、尾田さんは「週刊少年ジャンプ」の第44回手塚賞に短編作品『WANTED!』で準入選を果たした。当時から賞金首や賞金稼ぎといった世界観を描いている。

さらに翌1993年には、第104回ホップ☆ステップ賞に『一鬼夜行』で入選している。

高校時代にはサッカー部に入っていた。この経験から、2002年に『ONE PIECE 珍獣島のチョッパー王国』と同時上映された短編映画『夢のサッカー王!』では、尾田さんを模したオダッチというキャラが登場してチーム「悪役オールスターズ」に参加し、本人がその声を演じた。母校である東海大学付属熊本星翔高等学校には、卒業生としてメッセージを寄せている。

大学は1年で中退し(19巻「SBS」)、マンガ家を目指して上京した。

アシスタント経験と読み切り作品の発表

上京後、尾田さんは3人のマンガ家のもとでアシスタントを務めた。

アシスタントをした作品は、甲斐谷忍さんの『翠山ポリスギャング』、徳弘正也さんの『ジャングルの王者ターちゃん』『水のともだちカッパーマン』、和月信宏さんの『るろうに剣心』である。3人のことはマンガ家としても人間としても尊敬していると話しており、作風には様々な影響がみられる。

アシスタントをするかたわら、「ジャンプ」系列誌に読み切り作品『MONSTERS』『ROMANCE DAWN』を発表した。この『ROMANCE DAWN』は『ONE PIECE』の原型となる。

22歳、『ワンピース』で連載デビュー

1997年、尾田栄一郎さんは22歳の時に「週刊少年ジャンプ」で『ワンピース』の連載を開始した。これが連載第1作目である。

尾田さんは、『ワンピース』は本当は5年で終了する予定だったといい、最終章の盛り上がりとラストは始めから頭にあると、単行本やインタビュー等で繰り返し述べている。

作品紹介

『ワンピース』は、“ゴムゴムの実”を食べてゴム人間となった少年・ルフィが、海賊王を目指して仲間たちと世界の海を冒険する物語だ。

尾田栄一郎のONE PIECEのコミックス3冊
左が第1巻。すべてはここから始まった。

ルフィが目指すことは二つある。一つは、海賊王ゴールド・ロジャーが遺した“ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”を見つけて海賊王になること。そしてもう一つは、子どものころ自分をかばって片腕を失った大海賊・シャンクスが預けてくれた麦わら帽子を返しに行くことだ。

ルフィが船出するシーンの「海賊王におれはなる!!!」というセリフは有名だ。シャンクスから預かった麦わら帽子はルフィのトレードマークとなり、作品を象徴するアイコンの一つにもなっている。

作風の特徴

少年マンガらしさとユニークさ

仲間との友情や戦いでの勝利が描かれる、少年マンガらしい作風である。この作品では恋愛は描かないと、尾田さんは単行本やインタビュー等で繰り返し発言している。

一方、ユニークなところもある。任侠映画の影響で、「仁義」など、普通の少年マンガにはないようなキャラクターや価値観が描かれている点だ。一部のキャラクターには、落語の登場人物名や、任侠映画スターの顔が使われている。

精巧さと重厚感

『ワンピース』は、ルフィ海賊団が愉快に冒険しているストーリーに見えるが、実はそれだけではない。この作中世界には数々の謎があり、綿密に伏線が貼りめぐらされ、過去900年以上にわたる壮大な物語が形作られているのである。

第一に、海賊王ゴールド・ロジャーが遺した“ひとつなぎの大秘宝”とは一体何なのか、それは物語が始まった時からずっと不明なままである。

また、この世界の歴史には、記録や文献が一切残っておらず、何があったのかを誰も知らない時代がある。その時代は“空白の百年”と呼ばれ、世界の最高権力である“世界政府”は、その歴史を探ることを違法として固く禁じている。

このように謎が散りばめられているため、『ワンピース』には、伏線を読み解こうとコマの細部まで目を凝らし、他のマンガでは類を見ないほど深く読み込む特別熱心なファン層が形成されている。

物語の核心だけでない。本作には、雑学も豊富に盛り込まれている。海洋冒険ものであるため、特に科学や気象に関するものが多い。ファンサイトでは、作中に登場する科学が現実に可能かどうかを検証するものも存在していた。

『ワンピース』は壮大で、奥が深い作品である。尾田栄一郎といえば天才マンガ家で頭のいい人、というイメージがあるが、それは作品の精巧さに由来しているといえるだろう。

女性キャラクターの内面描写

メインであるルフィ海賊団の女性キャラクター、ナミとロビンは、それぞれ自分の夢を持ち、過去に大事な人がおり、辛い体験を生き抜いた末に冒険の海へ出るまでが描かれている。これらの点で男性キャラと違いはない。

小説の書き方のテキストでは、男性作家にはヒロインを理想化して描く人が多く、女性読者から「こんな女いない」と言われると、しばしば注意書きがある。少年マンガでも、見た目は魅力的だが思考に現実味のないヒロインが登場することは多い。

その点で、『ワンピース』の主要な女性キャラクターの内面描写はリアリティがあるほうといえるだろう。後述する通り、とりわけロビンの人生には、性別に関わらず幅広い読者から共感が集まっている。

他方、脇役には、リアリティのない女性キャラクターが散見される。具体的には、男性が男性であることをうらやましがっているとか、いいかげんな男性をひたすら待ち続けてそれに満足している、といった女性だ。尾田さんがリアリティのない女性キャラを描くときには、かなり独特なクセがあるといえるだろう。

底抜けの明るさ

本作はストーリーマンガだが、作風は底抜けに明るい。時にはギャグマンガと見まがうほど、笑いの要素が多く出てくる。

その笑いは、ルフィたちのバカバカしいやりとりやダジャレなど、軽く笑えるものである。風刺や皮肉といったシリアスな含意はない。

作者・尾田さんの「遊び心」

底抜けに明るい作風とともに、『ワンピース』にはマンガ=絵であることを生かした尾田さんの「遊び心」がたくさん散りばめられている。

たとえば、背景の群衆には「パンダマン」というキャラクターがまぎれていることがある。

ONE PIECEのパンダマンを赤い矢印で指して説明
(単行本5巻、第44話 ”三人のコック”より)

このパンダマンは全編に描かれており、ストーリー本編とは関係なく、絵本のようにパンダマンを探して遊ぶことができる。

普通なら背景にすぎない群衆には、他にも遊び心が盛り込まれている。人々のTシャツには、彼らの心情だったり、同じコマのセリフが字で書かれていることがある。

ONE PIECEの魚人島の逃げ惑う群衆のコマで赤い矢印がTシャツを指している
(単行本65巻、第644話 ”ゼロに”より)

町の風景に同じ人が何度か登場して、笑えるショートストーリーが展開することもある。ふきだしの文を追って読むだけでなく、絵でも遊んで読んで楽しめるのである。

また、コミックス冒頭の作者紹介欄には、多くの巻でダジャレや一発ギャグを書いている。

こういった遊び心も、メッセージ性があるようなものではなく、シンプルな笑いや楽しみである。

読者との関係・作家としてのスタンス

尾田さんは、単行本に「質問コーナーSBS」を設けて、読者からの様々な質問に答えたり、ツッコミを入れたりしている。

また、「ウソップギャラリー海賊団」というイラストコーナーもあり、読者の投稿イラストを掲載している。マンガ家の中には、作家性が強く、単行本には自分の著作物以外載せないというスタンスの人もいるというが、尾田さんはそうではない。

読者がキャラクターをどんなふうに見て楽しむかは一切気にしないといい、「SBS」では

(前略)師匠の教えですが、「漫画の世界」は商品で、買ってくれたものにとやかく言うのはプロのやる事じゃない。僕も同感です。自由に解釈し妄想し、好きに楽しんでください。読んで貰えてるだけで幸せです。

と答えている(82巻)。

「少年ジャンプ」の特徴

「週刊少年ジャンプ」の読者は小中学生が中心といわれる。が、代表的なマンガ誌として読者層は幅広く、電車の中で大人が読んでいることは決してめずらしくない。これまでに、『ドラゴンボール』をはじめ、数々の人気マンガを輩出してきた。

ただ、この雑誌は、他のマンガ誌とは毛色の違う、厳しい「アンケート至上主義」で知られている。読者アンケートの結果だけを基準とし、人気のない作品は、たとえ出来が良く将来性があっても打ち切りにする方針をとっているのだ。単行本3冊足らずで打ち切りとなる作品は常時出ており、作品の入れ替わりは激しい。

つまり、連載前の時点では、尾田さんがいくら綿密に『ワンピース』の世界やストーリー展開を練っておいたところで、たった半年後には打ち切りになり、全てが無駄になってしまう可能性もあったということだ。

ルフィと重なる、マンガ家という厳しい道

たとえそんなシビアな「少年ジャンプ」でなくても、マンガ家という道が厳しいということは、もはや誰にとっても自明だろう。

まず第一に、なるまでが大変だ。なりたいからといって、いくら努力したところで、なれる保証はどこにもない。マンガ家を目指すと決めたら、デビューすることが最大の夢であり、目標になる。

仮に新人賞などの狭き門を通れたとしても、後は大変だ。心を込めてペンを入れた作品が人気になるかは、やってみるまで分からない。マンガ家は、連載など発表の場を失えば、仕事がなくなってしまう。生活に困り、たとえペンを折ると断腸の決断をしたところで、ならば他の仕事にありつけるかどうか、それもむずかしい。マンガ家は、安定した職業からはほど遠い。

十代の尾田さんは、マンガ家という道が厳しいことを分かったうえで、それを夢として掲げ、実際に努力を重ね、22歳でついに連載デビューを果たした。

『ONE PIECE』連載初期には、ルフィが海賊王を目指す覚悟を語るシーンがよく出てくる。

ONE PIECEでルフィが麦わら帽子を握ってコビーに覚悟を語るコマ
(単行本1巻、第2話 ”その男”麦わらのルフィ””より)

その強い信念にはハッとさせるものがある。夢のために命がけで戦うルフィは、マンガ家になると決めた尾田さん自身とどこか重なっているように思える。

アニメ化―マンガとしての成功

そんなシビアな世界で、『ワンピース』は読者の心をつかみ、人気作となっていく。

1998年には、初めてオリジナルアニメ『ONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック』が製作され、ジャンプ誌のイベントで放映。監督を務めた谷口悟朗さんは、これが監督デビュー作だった。

そして翌1999年、尾田さんが24歳の時に、『ワンピース』のテレビアニメが放送開始となった。マンガとして成功したといえる。アニメ製作は東映アニメーション、放送はフジテレビ系列である。

東映アニメーションのバックグラウンド―スタジオジブリとのつながり

東映アニメーションは、その名の通り映画会社・東映の子会社である。『プリキュア』シリーズ、『ドラゴンボール』シリーズ、『おしりたんてい』、『釣りバカ日誌』、3D作品など、ジャンルや対象年齢、作風にとらわれず幅広いアニメを製作してきた。

かつては、後にアニメ業界を引っ張る面々が在籍し、1960年代に労使対立をきっかけとして独立していった。その中には『平成狸合戦ぽんぽこ』の高畑勲さん、『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』の宮崎駿さんも含まれる。東映アニメーション(旧・東映動画)は、スタジオジブリの源流なのである。

親会社である東映は、昭和期、尾田さんが愛好する時代劇や任侠映画を製作して、大衆から人気を博した。

マンガの枠を越えた巨大なフランチャイズへ

アニメ化に続き、2000年には初めて映画化された。タイトルは『ONE PIECE』で、尺は51分足らずのオリジナルストーリーだ。監督は、『倒せ!海賊ギャンザック』の谷口悟朗さんではなく、新たに志水淳児さんが務めた。劇場アニメシリーズというと、『ドラえもん』の映画では芝山努さんが22作、『劇場版ポケットモンスター』では湯山邦彦さんが20作連続でメガホンをとったが、ワンピース映画の監督は固定されず、作品ごとにそのつど決まるスタイルになった。

また同年には、ワンダースワンで初のゲーム化もなされた。今日までには、据え置き機での大作アクションから手軽なスマホアプリまで、30本を越えるゲームが出ている。

グッズの展開も盛んだ。お菓子や文房具から、おもちゃにガシャポン、Tシャツやアクセサリーなどファッションアイテム、通向けのフィギュアまで、町にはありとあらゆる商品が並んでいる。私も一つだが、コラボグッズを当ブログで扱っている。

リンク:【レビュー】リスペクトが行き届いた優良コラボ(たまごっちスマート「ワンピースフレンズ」攻略より)

マンガがマルチメディア展開すること自体は少しもめずらしくないが、この作品の市場規模はとりわけ大きい。『ワンピース』は巨大なフランチャイズとなり、もはや一つのマンガ作品を越える域に達しているといえるだろう。

私生活:29歳で結婚(2004年)

連載が順調な中、尾田さんは、2004年、29歳の時に結婚した。

コミックス36巻の作者紹介欄で、

今年で30歳になりました。去年、結婚もしました。(後略)

と読者に報告している。この時、物語は「ウォーターセブン編」である。

様々な経験をする中で、人は変わっていく。20代の時とずっと同じ考えのまま一生を生きる人はまずいない。

作品に変わったところは見られないが、日常生活の変化や新しい経験の数々は、尾田さんの内面に何らかの影響を与えたことだろう。

10本目の映画『ストロングワールド』で製作総指揮を担当

映画のほうはコンスタントにオリジナル作がリリースされてきたが、尾田さんは10本目の『ストロングワールド』で初めて「製作総指揮」として製作に参加した。映画全体、特に設定段階に深く関わり、様々な点にチェックを入れたという。同作は2009年12月に公開された。この時尾田さんは34歳で、原作は「インペルダウン編」の途中である。

ただでさえ人気マンガ家は激務で知られているが、この時期から尾田さんには映画版の仕事が加わったことになる。2009年9月に発売された55巻では、巻末に見開き1ページの映画紹介があり、

(前略)この2年半、ホント死ぬかと思いました。連載にもボコボコ穴空けちゃいましてね。色んな人に怒られましたが、原作も映画もハンパな作品だけはお届けしたくないんです!!(後略)

と、多忙さとこだわりの両方が見て取れるコメントをしている。

同作はファンから好評だったようだ。

10作目の『ストロングワールド』以降、『ONE PIECE』の映画には、原作者である尾田さんが深く関わるようになった。

さらに、この時から『ワンピース』の単行本には映画の宣伝ページが設けられ、尾田さん自身が宣伝を行うことが定着する。

累計発行部数2億部に

2010年には、『ワンピース』の累計発行部数が2億部を突破した。尾田さん35歳の時である。

ルフィ、エース、サボの表紙のイラストと2億部突破と書かれた本の帯
2010年11月に発売された単行本第60巻の帯。この頃『ONE PIECE』は累計発行部数2億部を突破した。

NHK「クローズアップ現代」での特集(2011年)

翌2011年には、NHKの報道番組「クローズアップ現代」に取り上げられる。2月9日放送回で、タイトルは「漫画“ワンピース” メガヒットの秘密」だった。

この番組は現在視聴できないが、私は途中から見たので内容を一部覚えている。筆者が部屋に入るとテレビで「クローズアップ現代」がかかっていて、最初から見ていた母に「ロビンちゃんってこんな人気なの? 出てる人みんな、ロビン、ロビンですごいけど」と聞かれた。ロビンは命がけで”空白の百年”の謎を追う考古学者で、読者から見ればストーリーの要でもある。その過酷な過去が明かされる「エニエスロビー編」は人気が高いので、私は「そうだと思うよ」と答えた。

番組には幅広い読者が出演し、感動したとか、救われた気持ちになった、などと話していた。雇用崩壊が深刻となった社会で、生きるのにもがいている人もいたと思う。尾田さんは顔は映さないものの、読者との座談会で受け答えをしていた。

ONE PIECEのロビンが「生きたい!」と叫んでいるコマ
(単行本41巻、第398話 ”宣戦布告”より)

日本社会は将来に希望が持てないと言われるようになって久しい。作中屈指の名場面であるロビンの叫びは、そんな社会で、生きていても辛いことばかり続く人々の本音をたたき起こし、共感をよび、その心に響いたのだろう。

このころの尾田さんには、多くの人を感動させる偉大なマンガ家として、尊敬のまなざしが向けられていた。

尾田さんの年収を「週刊文春」が試算

「クローズアップ現代」の少し前には、「週刊文春」が「年収20億円『ワンピース』尾田栄一郎の実家は『そろばん塾』」と題打ってスクープ記事を出した。現在、この記事の一部は「J CASTニュース」で確認することができる。

いかにも生臭い感じがするが、この時の「週刊文春」はプライバシーをかぎまわって面白がるような姿勢ではなかった。どちらかといえば「すごい人物が出た」というようなプラスのニュアンスがあり、年収20億円という試算額には、人々から「(成し遂げた仕事からしたら)これでも少ないのではないか」といった声が上がっていた。

1ヶ月の休養

2011年、尾田さんは、ストーリーの区切れ目で、1ヶ月間休暇を取った。その間は家族とハワイで過ごしたという(61巻、68 – 69項)。

休暇明けには、”麦わらの一味”メンバーのデザインを若干リニューアルして連載を再開。ルフィたちは、新世代のルーキー海賊として、強者ひしめく”偉大なる航路(グランドライン)”後半の海へ乗り込んでいった。

様変わりした創作環境

デビュー前の尾田さんは、一介の高校生、無名の若者であり、何も持たぬマンガ家志望の一人にすぎなかった。その時から、創作環境は様変わりした。

ジャンプコミックスが60巻以上、発行部数2億部突破となった時点ですでに、尾田栄一郎といえばマンガ業界に大きな功績を持つ人物である。『ワンピース』もまた、マンガ史に残ることは確実といえるだろう。最終回を迎えた時にそれが話題となることも確定的だ。

また、マンガ家志望の素人だった頃は、読者の人数はゼロ、たとえ読んでくれたとしても家族や友達だけだったはずだ。それがいまや、世界中の本屋で数えきれない人が自分の作品を手に取ってくれるようになった。もう自分から売り込んでいく必要もない。

さらに、週刊誌の試算はどうあれ、収入や将来への心配はなくなったといえるだろう。先行きの見えないマンガ家の道を選んだ時から、尾田さんの経済状況は一変した。

多くのアーティストにとって、お金を気にしなくてすむ環境は夢である。それがあれば創作だけに打ち込めるし、作品からお金を得なくてもいいとなれば、より自由に自分の世界を追求することができるからだ。

他方で、尾田さんが浮世離れした環境を生きるようになったのもまた事実だろう。富と名声に囲まれ、もしかしたら等身大の人ではいるのは難しいかもしれない。

30~40代で起こった社会環境の変化(2010年代)

創作環境だけではない。尾田さんが30代後半から40代となった2010年代には、社会環境にも大きな変化が指摘できる。

SNSの普及と定着

2010年代には、Facebook、Twitterなど、今日「SNS」と呼ばれるインターネット上の投稿型サービスが世界中で爆発的に広まった。

またYouTubeも万人向け路線で急拡大。動画投稿を仕事にする「YouTuber」が誕生した。

SNSは一時の流行にとどまることなく、世界規模で社会に定着していった。政治家の発言や企業の宣伝など、公的な役割にも利用されるようになり、絶大な影響力を持つに至った。

多くのマンガ家がTwitterなどを始めたかたわら、尾田さんは自身のSNSアカウントは設けていない。76巻の「SBS」では、ネットで個人で発信することはなく、集英社や東映アニメーションを通してしかしないと答えている。理由には言及していない。

他方、作品の公式SNSは次々と開設されていった。今日では、Twitterアカウントが複数、Instagram、YouTube、LINE、TikTokがある。

「ワンピース系YouTuber」という存在とその影響

自前のファンサイトやブログをやっていたファンたちも、この頃からSNSへ移っていった。

そんな熱心なファンの中からは、YouTubeでチャンネルを開き、動画を投稿する「ワンピース系YouTuber」となる人々が現れた。動画の内容は、伏線の指摘や展開の予想が中心だ。いわゆる「考察」である。集めたグッズの紹介などもみられる。人気のチャンネルでは、50万以上のチャンネル登録者がいる。

一作品を単独でテーマとするYouTuberは、他のマンガではほとんどみられない。謎と伏線が張り巡らされた本作に限っての現象だ。

YouTuberやSNSインフルエンサーとなった層は、ただ愛読するだけでなく、それを半ば仕事とするに至った。中には、ワンピース公式YouTubeチャンネルに出演するなど、読者でありながらプロモーションに食い込む人も出ている。

そのため、彼らは一般の読者とは立場がズレてきている。ワンピースがあるから成り立ち、もしそれが下火になったら自分も多くを失う都合上、彼らは基本的に肯定的なことしか言わない。自分の感想を自由に述べることはもはやできず、どんなことでもポジティブに解釈し、作品から離れることもない。期せずしてだろうが、SNSという新たな社会インフラの登場によって、他のマンガではあり得ないほど深く読み込んでおり、かつ、大きな影響力を持ちながら、『ワンピース』や尾田さんをほぼ無条件に持ち上げるというファン層が形成されたのである。

マンガ・アニメに対する社会の視線の変化

2000年代前後には、マンガ・アニメに対する社会の見方も大きく変わっていった。

戦後昭和の時点では、マンガは悪書とみられていた。アニメも「テレビは1日1時間」と言われるなど、大人が煙たがる存在だった。

それが一転、1990~2000年代頃になるとマンガ・アニメは国内外で高く評価され、やがては日本を代表するコンテンツとして人々に受け入れられるようになった。

2013年には、官民ファンド「クールジャパン機構」が設立されている。

転機となった39歳の一年(2014年)

尾田さんが39歳だった2014年には、個人としても、創作環境でも、様々な変化が起こっている。

体調不良、入院と手術

尾田さんは38歳だった2013年5月、扁桃周囲膿瘍で入院した。それにともない、連載を2週間休載した。

2013年は、「パンクハザード編」が終わり、「ドレスローザ編」に入ったころに当たる。

扁桃周囲膿瘍とは?

扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)は、のどの病気である。口蓋扁桃周囲の細菌感染から炎症を起こし、扁桃の奥に膿がたまるというもので、30代の男性に多く発症する。

症状は、激しいのどの痛みが特徴で、ものを飲み込むときに激しい痛みを伴い、炎症範囲が広がると耳に痛みが出る。また高熱を伴い、全身の倦怠感と脱水症状を引き起こす。

一般向けの医学情報で調べた限りでは、扁桃周囲膿瘍は他の病気の引き金になったり、脳に影響をおよぼしたりすることはないようだ。

連載ペースの変化、体力の低下

そして翌2014年5月には、扁桃腺摘出の手術を受けるため、再び2週間休載した。再発を抑えるための代表的な治療のようだ。物語は「ドレスローザ編」の途中である。

入院、手術を機に、尾田さんには3週間連載して1週休載をはさむペースが定着した。

誰しも、一生のうちには大きな病気を一度や二度は経験するものである。しかも、多くの病気は突然やってくる。自分にどんな症状が出るかも予測できない。

それは当然アーティストも同じで、創作活動には、病気によりある日突然中断される可能性がある。治療や後遺症によっては、創作をそこで続けられなくなることさえある。

幸い、尾田さんの場合は手にマヒが残る、継続治療を要するなどがなかった。そのため、ペースが若干変わったこと以外、連載は何事もなかったかのように続いている。

ただそれでも、尾田さんはこの前後から、加齢による体力の低下を何度か口にしている。40歳を前にして体に変化は訪れており、この病気が一つの転機となったのは確かだろう。

『NARUTO -ナルト-』連載終了、『僕のヒーローアカデミア』連載開始

2014年には、『ONE PIECE』や『BLEACH』と並んで「少年ジャンプ」の看板マンガだった『NARUTO -ナルト-』が無事最終回を迎え、15年間にわたる連載を終了した。その週、尾田さんは扉絵でオマージュし、作者の岸本斉史さんをねぎらっている(766話、77巻収録)。

同年には『僕のヒーローアカデミア(通称・ヒロアカ)』の連載が始まり、一気に「少年ジャンプ」を代表する人気マンガへ駆け上がった。その作者である堀越耕平さんは、学生の頃、『ワンピース』23巻の「ウソップギャラリー海賊団」でスモーカー大佐のイラストが採用されたことがあり、尾田さんは77巻SBSで、

(前略)嬉しいですねーこれは。この前、ジャンプの新年会で本人がこれを教えてくれましてねー。早く言ってよ、応援するのにー!!(後略)

と言及している。堀越さんは、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』の企画で、尾田さんを自分の「ヒーロー」だとした。

物語の中で、ルフィは依然、新世代のルーキー海賊だ。だがその作者は、この時点で、後進のマンガ家から尊敬のまなざしを受ける存在になっていたことが分かる。

『ワンピース』公式ポータルサイトがオープン

2014年には、尾田さん公認の公式ポータルサイト「ONE PIECE.com」がオープンした。

このサイトを運営しているのは、東映アニメーションである。

「らくがきコーナー」開始―尾田さん自身の情報発信元に

同11月には、この公式ポータルサイトで「尾田栄一郎のらくがきコーナー」が始まる。

第1回である同11月1日の更新では、

らくがきコーナーを始めると聞きました。何でもいいからかけと。ブログ的なことですか? 最新グッズの感想とか書けばいいそうです。(後略)

とあるので、「らくがきコーナー」を始めたのは本人の意志ではないようだが、個人ではSNSをやらないと公言している尾田さんにとって、このコーナーは自らが発信する貴重な場となった。開始当時の投稿内容は、いかにも「らくがき」と呼べる、ペン一本でその場で描いたようなイラストだった。

また、サイト運営者には、立ち上げ時からグッズなどのプロモーションを行う意図はあったようである。

なお、「らくがきコーナー」の更新は、必ずSNSのワンピース公式アカウントでシェアされる。なので、ここでの発言は事実上、SNSで発信するのとそれほど変わらない。

40歳でギネス世界記録認定(2015年)

2015年には、『ONE PIECE』が「最も多く発行された単一作者によるコミックシリーズ」としてギネス世界記録に認定された。記録数は3億2,086万6,000冊。この年尾田さんは40歳で、物語は「ドレスローザ編」が佳境だった。

尾田さんは、

ギネス世界記録認定ありがとうございます。(中略)漫画界の先人達または協力者達、読者の皆様への感謝を忘れず、これからも記録に恥じぬ作品を描いていきたいと思います。

とコメントしている。

作風に若干の変化(2016年)

2016年には「ゾウ編」が始まる。尾田さんがかねてより描くのが楽しみだと繰り返していた「ワノ国編」につながる前段だ。

一連のワノ国のストーリーは、時代劇のテンプレート「お家再興譚」をベースにしている。そのため、冒険ものとしての性格はやや薄れ、オリジナリティという点では全シリーズ中最も低いといえる。

このことは別途詳しく書いたので、詳細は以下リンクを参照してほしい。

参考リンク:ひと昔前のサブカルにのみこまれた作風(※ネタバレ有)

『BLEACH』連載終了、『鬼滅の刃』連載開始

同年には、久保帯人さんの人気マンガ『BLEACH』が完結した。2001年に連載が始まり、『ワンピース』や『NARUTO』と並んで「少年ジャンプ」の看板となる長期連載作品だった。

同じ2016年には、後に社会現象となった『鬼滅の刃』が始まっている。劇場版『無限列車編』(2020年)は、全世界での累計来場者数は約4135万人、総興行収入は約517億円の記録的ヒット作だ。LiSAさんが歌う主題歌『紅蓮華』もまた、同年の音楽シーンを代表するヒット曲、歴史に残るアニメソングとなった。

他のジャンプ人気マンガの連載期間は?

『BLEACH』だけでなく、2000年代~2010年代の「少年ジャンプ」からは、

  • 『DEATH NOTE』(2003 – 2006)
  • 『銀魂』(2004 – 2018)
  • 『家庭教師ヒットマンREBORN!』(2004 – 2012)
  • 『黒子のバスケ』(2009 – 2014)
  • 『ニセコイ』(2011 – 2016)
  • 『ハイキュー!!』(2012 – 2020)
  • 『暗殺教室』(2012 – 2016)
  • 『斉木楠雄のΨ難』(2012 – 2018)
  • 『火ノ丸相撲』(2014 – 2019)
  • 『約束のネバーランド』(2016 – 2020)

をはじめ、『ワンピース』より後に始まり、終わらないうちに完結する人気作が多数出ている。「少年ジャンプ」のレジェンドたる『ドラゴンボール』も、連載期間は1984~1995年の約11年である。

マンガ家全体を見渡せば、一つの作品を何十年、あるいは生涯描き続けている作家もいるが、『ワンピース』はジャンプマンガとしては異例の長期連載といえる。

43歳での明暗(2018年)

2018年、尾田さん43歳の一年は、喜ばしいニュースの一方、それまでの作家生活でおそらく最も大きいであろう蹉跌もあった。

元残留日本兵・横井庄一さんのネタで物議

ギャグや遊び心に彩られ、底抜けの明るさを持ち味とする『ONE PIECE』。

だが、2017年8月には86巻の「SBS」、2018年3月には88巻の作者紹介と、単行本では首をかしげるような内容が相次いだ。「ホールケーキアイランド編」の最中のことだ。特に、『ワンピース』が連載20周年を迎えた2017年の86巻「SBS」では、家庭内でテレビのチャンネルを決める権利が収入の額によって決まるかのような尾田さんの発言に対し、問題視する声が一部で上がっていた。

そして2018年6月、コミックス89巻の作者紹介欄が不適切だとして、尾田さんは社会から厳しい批判を浴びる。

具体的には、大皿に一つ残ったからあげを、元残留日本兵の横井庄一さん(故人)に例えるというものだった。

横井さんは、旧日本軍陸軍軍人で、太平洋戦争終戦後に、グアム島のジャングルで28年間潜伏生活を続け、1972年に地元民によって発見されて日本へ帰国した。残留日本兵・横井さんの「発見」は、社会で大きな話題となったと同時に、当時の世相や日本人の太平洋戦争に対する感情を象徴する出来事でもある。

ただし、横井庄一さんについては世間で誤解が非常に多い。筆者が見たところでは尾田さんを批判する側でも誤った認識がほとんどだったので、以下で事実とその背景を解説したいと思う。

1970年代を代表するダジャレ「よっこいしょういち」

1972年の帰国後、横井さんは世間から注目され、時の人となる。意外に思う読者もいるだろうが、それは一種の「ブーム」であって、真剣な受け止め方ではなかった。

報道は過熱し、報道陣が横井さんの自宅前に連日陣取った。迷信のように「横井庄一さんの姿を見られたらラッキーなことが起こる」といった話が無数に生まれ、横井さんは時折自宅の窓から顔を出して手を振ったりもしていた。横井さんの潜伏生活を紹介する展覧会が開かれ、入場には数時間待ちの列ができたという。

この時代には、腰かける時のかけ声「よっこいしょ」にかけた「よっこいしょういち」というダジャレが一世を風靡した。これは特定の芸人のネタではなく、当時の人々から自然発生したものとみられている。「よっこいしょういち」は大人から子どもまでよく知られており、1970年代を代表するダジャレの一つに数えられている。

当時の日本社会で、横井庄一さんはおもしろおかしいイメージで受け止められていたのである。

実は誤解だった「イノセントな悲劇説」

しかし同時に、こうした「おもしろおかしい」イメージとは180度逆に、横井さんを「悲劇の人」として認識している人も少なくない。彼は太平洋戦争によって人生を狂わされ、28年間も辛く苦しい生活を強いられた被害者だ、というイメージだ。特に「ジャングルの中にいて終戦を知らなかったから、潜伏して独り戦争を続けていたのだ」と思っている人は多い。公的な場面ですら、しばしばそのように記載されている。

だが実は、「終戦を知らなかったから」という理由付けや、「戦争を続けるつもりでジャングルに潜伏していた」という見方は、事実ではない。

実際には、横井さんは、終戦直後には戦争が終わったことを知っていたという。にもかかわらず潜伏を続けたのは、地元ゲリラに殺されるのを恐れてのことだったと、本人が証言している。

しかも、残留日本兵はアジア各地で発見されていた。横井さんだけではないのである。横井さん自身も、当初の潜伏生活は3人でしていた。ある時言葉のやりとりから仲違いが生じたため、横井さんは二人と別れて生活するようになり、ある日彼らがすでに亡くなっているのを発見したと、こちらも本人が証言している。横井さんは帰国後、二人の遺族を訪問し、遺骨を返還している。

いわば「イノセントな悲劇説」とでも呼ぶべき世の誤解では、横井さんはかわいそうな悲劇の人として認識され、太平洋戦争の「被害者」であることが強調されている。その反面、残留兵仲間と仲違いしたといった「汚い」箇所にはほとんど触れられない。

横井庄一さんが誤解だらけになった背景

このように、横井庄一さんをめぐっては、かたやおもしろおかしく、かたや悲劇の被害者だという対照的なイメージが併存してきた。

考えてみれば、おかしな状況である。

混乱の背景には、70年代日本の社会環境がある。高度経済成長期の日本人にとって、横井庄一さんの「発見」は「最も見たくない暗黒時代を見せつけられる」出来事だったといわれている。

終戦によって全体主義から解放されたものの、戦後の日本人はぼう然自失になった。彼らは、国家主義・軍国主義に心から燃え上がっていた自分、その末に身をもって経験した社会の破局、しかもその悲惨は自ら招いたものだという事実は、直視できなかった。その心の空洞を、彼らは経済成長と会社組織への没入で埋めていく。横井さんは、そんな人々の前に現れた。

ある人は、それをおもしろおかしい程度のことにしてしまいたかった。またある人は、国民はイノセントな被害者だったと思いたかった。――横井さんが誤解だらけになったのは、戦後昭和の日本人が、戦前ファシズムを直視できず、めいめい好きな話を作り上げて信じることしかできない不安定な心理状態に陥ったからだと私は考えている。

『ワンピース』の話に戻ると、つまり、もし読者が横井庄一さんをおもしろおかしくとらえたのは尾田さん個人のアイディアだと思っていたなら、それは誤解だ。1970年代の日本人全般にそのような風潮があったのである。

実は、この物議より前に一度、作中には横井さんを思わせるコマが出てきている。

ナミに指示を仰ぐサンジと泣いているウソップとチョッパーのコマ
(単行本66巻、第654話 ”GAM(小群)”より)

「恥ずかしながら」というのは横井さんが帰国した際の言葉で、これまた1970年代の流行語である。尾田さんの中で、横井庄一さんのイメージは「おもしろおかしい」で固まっていたようである。

とはいえ、表現者には、表現がもつ影響力ゆえ、扱いに注意を要するデリケートなテーマはある。具体的には、肌の色、性別、病気・障害といった差別に関わる事項や、災害、事件・事故、そして過去の戦争や虐殺、人道危機に関わることが挙げられるだろう。横井庄一さんのグアム残留と潜伏生活は、ファシズムに関わる出来事であり、また、横井さん個人にとって辛い体験だ。それをギャグにするのが軽率であることに変わりはない。笑えないのである。

コミックスが出版されるまでの間には、担当編集者など複数の人が目を通したはずだが、89巻はどの地点でも修正されることがないまま世に出た。ネットでは「どうして誰も止めなかったんだろう」などといぶかしがる声がみられる。

似たような事例がアニメ業界にある。まだSNSがなかった2001年、スタジオジブリの宮崎駿さんは『千と千尋の神隠し』のプレミアで、人柄や人権感覚を疑うような非常識な発言を放った。なぜか、止める人はいなかった。

参考リンク:許されざる壇上発言(『千と千尋の神隠し』考察と論評―両親、坊、湯屋が表象した戦後日本)

故郷・熊本で県民栄誉賞

このように大きな蹉跌のあった43歳の一年だが、同じ2018年、尾田さんは故郷・熊本で県民栄誉賞を授与された。

県側の授賞理由は、尾田さんが行った2016年熊本地震への復興支援である。

ルフィの銅像について

県庁前の並木道には、主人公・ルフィの銅像が作られた。通常、県民栄誉賞の受賞者は植樹をするのだが、マンガ家だということで銅像になったという。

この時、『ワンピース』はまだ連載中である。その段階で銅像が建てられるのはめずらしい。

熊本県側にどこまで認識があったかは分からないが、受賞者=人を記念することと、作品の像を建てることは微妙に異なる。銅像がルフィだということは、県が顕彰する対象が『ワンピース』にかかってくるからだ。その作品が県として顕彰するにふさわしいかは論点となり得るし、仮にそうだと結論しても、授賞後ずっと名誉ある作品であり続ける保証はなかったはずだ。ルフィ像が熊本のイメージアップにつながるとも限らない。

やや勇み足ともとれるが、熊本県がルフィ像に動いた背景には、誰もが「ワンピースは崩れない」と信じて疑わないほどの安定感が一つにあったのではないかと思われる。

クイズ大会「ナレッジキング」初開催(2019年)

翌2019年には、イベント「ナレッジキング」が始まった。『ワンピース』の知識を競うクイズ大会で、以後毎年行われている。主催は集英社。この頃、物語は「ワノ国編」に入っている。

ファイナリストはTwitter上のハンドルネームで出場している。多くがYouTuberやSNSインフルエンサーで、ファンの間では有名な人々だ。

出場は応募すれば誰でもできるが、ファイナルは並の読者ではとても参入できないレベルに達している。結果的にだが、内輪での大会ともいえる状況だ。

連載25周年で最終章突入、世界累計5億部突破(2022年)

以上の通り、「少年ジャンプ」の看板であり、長寿作品となっていた『ワンピース』は、連載25年目の2022年、とうとう最終章に突入した。この時尾田さんは47歳である。

この年、同作は世界累計発行部数5億部を突破した。

映画15作目『ONE PIECE FILM RED』公開

また、この年には、映画『ONE PIECE FILM RED(ワンピースフィルムレッド)』が公開された。劇場版はこれが15作目で、世界90か国以上で上映された。

谷口悟朗監督との「再会」

メガホンをとったのは、谷口悟朗さんだった。上記アニメ化の項で解説した通り、1998年に『ワンピース』を初めてアニメ化して監督デビューを果たした人である。

当時新人監督だった谷口さんは、二十余年の間に『コードギアス』シリーズなどを手がけ、アニメファンの間で有名になっていた。尾田さんは24年の時を経て「再会」した谷口さんを、「サブカル界のリーダー(劇場パンフレット)」「サブカル界の神のような人(ONE PIECE magazine Vol.15 54頁)」と評している。

2022年時点ではフリーで、東映アニメーションからのオファーで本作の監督に決まった。

尾田さんの自画自賛

尾田さんは、「総合プロデューサー」として企画段階から作品に深く関わった。

ハッキリ言って、すべてが成功しました。(劇場パンフレット)

など、各メディアで自画自賛する発言をしている。

原作コミックス103巻の巻末では、10ページにわたる宣伝ページを設け、

(前略)映画は総合芸術!誰がかけてもいけません!!(後略)(215頁)

と、スタッフ・キャストの豪華さを強調した。

同作は2022年8月6日~2023年1月29日まで上映され、最終的な国内の興行収入は197億円のヒット作となった。尾田さんは興行収入が区切れ目の額に達するたび、公式Twitterで記念のイラストを発表した。

『フィルムレッド』をめぐって私が見たもの(2022年)

連載25周年、最終章突入という記念イヤーに花を添える大型企画だったはずの『フィルムレッド』。

しかし、事態は思わぬ方向へ進んでいった。公開直後から作品には酷評が噴出し、支持するか否かでファンが二分されたのである。

私は、同年10月に『ONE PIECE FILM RED』の映画批評を書いた。それが11月初頭にSNSで拡散し、読者から「とても納得した」「読めば読むほどうなずいた」など多数の反響が寄せられた。

すさまじい光景を目にした。それは、長年『ワンピース』を愛読してきたファンが雪崩を打って離れる様子と、作者・尾田さんの変化である。以下では、『フィルムレッド』をめぐって私が見たものを書いていく。反響を呼んだ映画レビューがどんなものだったのかは、以下リンクを適宜参照してほしい。

参考リンク:評価二分の『ONE PIECE FILM RED』~ウタはなぜ”炎上”したのか

「Adoは尾田栄一郎の娘」という流説について

後になってふり返れば、不穏な気配は映画公開前からあった。『ONE PIECE FILM RED』封切りを前にした6月ごろ、「Adoは尾田栄一郎の娘だ」という根も葉もないうわさが広まったのである。Adoさんは『うっせぇわ』で大きな話題となった人気シンガーで、同作の主題歌「新時代」と劇中歌に起用されていた。

うわさのきっかけは、エンタメニュースサイト「コミックナタリー」の特集記事だった。「少年ジャンプ」担当編集者(当時)の高野健さんはインタビューで、「(歌唱担当が)Adoさんに決まったときの尾田先生の反応はいかがでしたか?」という質問に

すごく喜んでいました。“Oda”を反対から読むと“Ado”になるので、最初は「僕の娘なのかな(笑)」みたいな冗談を言っていたりもして(笑)(後略)

と答えている。「Adoは尾田栄一郎の娘」説は、このインタビュー記事で高野さんの受け答え中に出てくる尾田さんの「僕の娘なのかな」という発言がきっかけだったようだ。なお、この発言には「気持ち悪い」「セクハラだ」などと一部で批判の声が上がっていた。

流説が生まれた背景事情は他にもある。公開前の情報で、その作風やウタのキャラクター設定は二次創作さながらで従来の『ワンピース』とはかけ離れていると分かり、ネットで話題となっていた。しかも、動画配信で世界的歌姫になったというウタの設定は、ネット上の”歌い手”として素性を隠して活動してきたAdoさんと人物像が重ねられている。その上、このような巨大なタイトルで特定シンガーの曲が7曲もフィーチャーされるのは異例である。ネットでは、尾田さんの子は女の子で、年頃もAdoさんと同じくらいになることが知られていた。それで「娘に便宜を図ったのではないか」と憶測が生まれたようである。

だが、この親子説にはまったく根拠がない。翌2023年1月15日の終映直前舞台では、監督の谷口さんが流説を否定した。ネット社会で時々起こっては問題となっているように、憶測が広まっただけのようである。

なお、流説のきっかけとなった特集記事は、PR目的で作られたものである。言い換えれば、記事それ自体が広告だ。つまり、『フィルムレッド』製作側が「コミックナタリー」に広告費を払って特集を書くよう依頼したのであって、ジャーナリストが自発的に行った取材、報道ではない。

外部リンク:「ONE PIECE FILM RED」“歌姫”ウタの誕生秘話から、“今が一番熱い”原作の今後までをジャンプ編集部原作メディア担当編集者・高野健が語る(コミックナタリー)

『フィルムレッド』が”炎上”した3つの理由

映画が公開されるとすぐ、観客からの評価は荒れて“炎上”が起こり始めた。読者によれば、ワンピースのファンコミュニティが荒れたのはこれが初めてだという。

”炎上”した理由をできるだけ簡潔に指摘するなら、ポイントは次の3点だ。

  1. 映画用キャラのために『ワンピース』の物語の根幹が変更された
  2. 原作らしくない美少女キャラクターがメインに据えられた
  3. 映画として質の低い作品だった

映画用のキャラのために物語の根幹を変更

『ONE PIECE FILM RED』のストーリーは、ルフィのあこがれ・シャンクスには実はウタという娘がいて、ルフィとも幼なじみだった、という設定だ。

そもそも、『ワンピース』とはどんな話かといえば、「ルフィがシャンクスに麦わら帽子を返しに行く」という筋だった。その物語の根幹に、連載25年目にして突然、ウタという映画用の新キャラがねじ込まれたのである。

しかも、映画公開直前の8月1日に発売された「ジャンプ」掲載1055話(104巻収録)のコマには、ウタとみられるシルエットが描かれていた。もしウタが原作に登場するとなれば、物語の根幹が正式に変更されることになる。そのためファンの間では動揺が広がり、一部は公開直後の時点で『ONE PIECE』と決別した。

ここで、11月に始まった新企画「副音声上映」が火に油を注ぐ。副音声上映は、『フィルムレッド』の上映中にスマホで尾田さんと監督の谷口さんの対談が聞けるというもの。二人が読者の質問に答えると発表されていたので、熱心なファンは事実を確かめるべく再び劇場へ足を運んだ。この副音声上映で、尾田さんは、ウタの存在を原作の正史に入れる旨の発言をした。

普通、マンガ・アニメの劇場版は派生作品にすぎない。原作とは関係ないパラレルストーリーとして一話で完結する。たとえ不評でも、過ぎ去って終わりである。

劇場版ワンピースも従来はそうで、『フィルムレッド』以前の14作では、映画用のキャラが原作に反映されたことはなかった。劇場版を観なければ原作の一部が分からなくなる、ということもなかった。

私の映画評がSNSで拡散したのは、副音声上映の開始直後だった。

映画レビューに反響を寄せた読者層とその印象

私の映画レビューに反響を寄せたのは、ほとんどがファンのうちで『フィルムレッド』を受け入れられなかった層の人々だった。

ワンピースにどれくらいの時間やお金を費やしているかには幅があった。人数は定かでないが、グッズやゲームにまで手を伸ばしている人もいれば、「ジャンプ」で目を通している程度のライトな読者まで、すそ野は広い。ただ、『ワンピース』という作品がピンポイントで好きであることは、大部分の人に共通していた。

この層は、ファンといってもYouTuberやSNSインフルエンサーとして活動する域までは達していなかった。一般読者の範囲内である。作品を長年支えてきたファン層だといえるだろう。

印象的だったのは、私の映画レビューを熱心に細部まで読んでいることだった。本作レビューに限らないが、私が書いているのは、あくまで独立性が命の「批評」である。ワンピースファンを喜ばせることが目的のエンタメサイトではないため、レビューには社会問題との関連など、ストーリーやキャラとは直接関係ない話もたくさん書いた。記事公開前、私は必ずしもファンが期待する内容ではないだろうと思ったので、冒頭でわざわざ断り書きまで入れておいた。ところが、この読者層は、そういった社会的な視点や、私の他の映画レビュー、海外の映画批評家へのリンクにまで手を伸ばしていた。読み方も正確だった。私は、筆者として、本気で執筆した甲斐があったと胸が熱くなった。彼らはかつて、この熱量を『ワンピース』に向けていたのだと思う。

その他、性格や言動の点ではこれといった特徴は――たとえば、好みが細かいとか、SNSで誹謗中傷をしがちだ等は――見受けられなかった。どこにでもいるような普通の人という印象だった。

ワンピースらしからぬ美少女歌姫・ウタ

『フィルムレッド』には、「このキャラはこういうことは言わない」等々、原作からしておかしい箇所は叩けば叩くだけ出てくる。その数だけファンの怒りを買っている。シリーズものでは、そのシリーズとして要点を押さえているかは観客からの評価を大きく左右するが、同作はシリーズファンから及第点をもらえなかったとしても不思議でない作品だ。

とりわけファンの怒りや嫌悪感を買ったのが、本作のメインであるウタだった。

ウタは「幼なじみ」で「美少女」の「歌姫」である。このような設定のキャラクターが登場する『ONE PIECE FILM RED』は、少年マンガらしさが強く、恋愛要素が描かれない原作とは大きく異なる。

絵柄ににじみ出たウタの本質

ウタの美少女キャラクターとしての性質は、尾田さんの絵柄にも表れている

参考例として、2022年9月5日に公開された「ウタのぴょこ耳」を挙げよう。

ここで指摘したいのは、ウタの表情にあどけなさがあることだ。ウタは21歳という設定なので、顔をあどけなく描くのは本来なら不自然である。またウタのイラストは笑顔にも特徴があり、普通なら幼い子どもを描くときのような天真爛漫さが演出されている。上のGIFは「束ねた髪がうさぎの耳のようにぴょこぴょこしてかわいい」という趣旨だろうが、尾田さんがそのようなテイストで描いた女性キャラクターはウタが初めてだ。後に、「ウタのぴょこ耳」は東映アニメーションによってグッズ化された。

もう一例、「らくがきコーナー」2023年1月4日更新も紹介しよう。

まるで人形のようだ。丸く見開いた目や、口の形にリアリティが全くない。肩をすくめたポーズは昔のぶりっこ風で、もし現実で誰かがやったら周りが凍りつくだろう。バトルマンガで技を繰り出す時のモーションにもなっていない。

これらはほんの一例だ。尾田さんは、ウタを、かわいいと言って上から愛でるような描き方をしているのである。

それまで、『ワンピース』のキャラは、全員、その人の心情が先に決まっていて、それに沿った表情や動作をペンで描くという順序で描かれてきた。フィクションの登場人物として、ストーリーを展開させる機能を果たしていた。イラストでも、あくまで中身が先だった。上記で作中には内面描写にリアリティのない女性脇役もいると言ったが、彼女らがフィクションの登場人物として機能しているかと言えば、答えはイエスである。

ところが尾田さんは、ウタだけは、観客/読者が「見て楽しむ」ことを意図した描き方をしている。

美少女キャラクターの特性―「見る対象」であるがゆえ

美少女キャラクターは、「見て楽しむ対象」である。アダルトまでは達しないものの、それに準ずるヤングアダルトコンテンツだ。

この性質ゆえ、美少女キャラクターを使うことにはリスクがある

まず、人々の反応は、好きか嫌いかにハッキリ分かれがちだ。好きな人は美少女目当てにいくらでもお金を落とすが、嫌いな人は目に入っただけで強烈な嫌悪感や不快感を抱く。

そのよい例は、米のあきたこまちだろう。以前、あきたこまちが米袋に美少女イラストを付けたところ、突然飛ぶように売れて、品薄を起こすほどになった。しかしその裏では、常連客が「ふざけている」などと怒り心頭の末に去って行ったという。商業的には成功したが、ブランドイメージは低下したのである。

さらに、美少女キャラクターは女性に対して性的な見方をするコンテンツであることから、公的な場面では不適切となる。2021年には、千葉県警が交通安全動画に美少女Vチューバ―を起用したところ、「女児を性的対象としている」と批判され、動画を削除した。

マンガ家にとっては、ヤング/アダルト化に踏み切るのは最後の手段である。これについては後述する。

映画としての質の低さ

海外での評価

戦前ファシズム下の言論統制で「批評」が壊滅した日本と異なり、海外では独立性の高い芸術批評が一つの分野として社会に根を張っている。

その海外で、『フィルムレッド』の評価はふるっていない。参考までに、英ガーディアン紙の評価は星3つ、フランスのル・モンド紙は星2つだった。ガーディアン紙は、同じくジャンプマンガ原作の『呪術廻戦0』には星4つを出している。

批評の中身は以下で訳してまとめたので、そちらを参照してほしい。

リンク:海外での評価(評価二分の『ONE PIECE FILM RED』~ウタはなぜ”炎上”したのか)

二次創作テイストと素人臭さ

国内の複数のネットメディアでは、『ONE PIECE FILM RED』のストーリーは二次創作、特に”夢小説/夢女子”というジャンルのようだと指摘されている。

マンガ・アニメには、ファンらが作品から想像をふくらませて二次創作の同人誌を作るといった、独特なコミュニティが形成されている。サブカルチャーのそのまたサブカルチャーであり、素人の遊びの範囲で、厳密には著作権侵害だ。なので二次創作には一般社会に通用するレベルの作品はなく、たとえストーリーが荒唐無稽だろうが、社会的に不適切な表現があろうが、この狭く閉ざされたコミュニティの内部では問題にされない。

『フィルムレッド』をめぐってワンピースファンが二分されたと言った。ではどういう人は高評価したのかといえば、谷口監督の二次創作テイスト、サブカルテイストが好きな人は絶賛する傾向にある。逆に、こうしたテイストに興味がない人にとっては陳腐な作品であり、嫌いな人には不快なものということになる。

二次創作でよくあるシナリオはもちろん、本作は、作詞・作曲をバラバラな人気ミュージシャン7組に依頼するなど、映画として素人臭さが目立つ。

普通なら選考過程ではじかれて日の目を見ないレベルなのに、企画が通り、予算が組まれ、製作され、世に出るところまで漕ぎつけた――これは時折、名前だけで人が集まるビッグタイトルや巨匠に限って起こる現象だ。

とてもよく似た事例がある。ミュージカル『オペラ座の怪人』はきっと誰しも聞いたことがあると思うが、実はそれに続編があるということは知っていただろうか? 制作はミュージカル界の世界的巨匠、アンドリュー・ロイド=ウェバーで、前作『オペラ座の怪人』では大成功を収めていた。が、続編『Love Never Dies』のストーリーは素人並みで、劇評家は「ファントムの中身が別人」「ロイド=ウェバーによる二次創作」「なぜこのような作品が上演されるに至ったのか? それは私には分からない」など低評価一色だった。怒ったファンたちは「Love Should Die」というサイトを立ち上げ、『オペラ座の怪人』に続編はいらないと訴えている。

谷口悟朗監督のインタビュー発言について

私が映画評を公開した後、谷口悟朗監督のインタビューが映画公式サイトに掲載された。

インタビューの中で谷口さんは

(前略)『ONE PIECE』の世界でメインにはなりづらい【海賊に虐げられている人々の存在】を、印象的に描くことで新しい何かが生まれることを意識していました。(中略)虐げられている人々も、記号的にひとくくりにはせずにいろんな設定を裏ではしています。例えば、森の中に何人か女性たちが並んでいますが、あれはなかば宗教化しているグループとして描いています。いわゆるウタの信者ですね。

と答えているのだが、ここで、谷口さんが一般社会でいう「信者」と、サブカルチャー界のスラングでいう“信者”を混同していることを指摘したい。

一般社会で言う「信者」は、「特定の宗教を信仰する人」を指す。時代や場所を問わず、どこでも通じる普遍的な語だ。

他方、サブカルチャーでいう“信者”は、「(アイドル歌手等の)狂信的なファン」を意味するスラングで、それこそ「ウタの信者」というように使われる。通じる範囲は、ここ数年の、日本の、そのまたサブカル界の内輪だけだ。

狂信的なファンらが宗教のように見える、というだけで、両者は別の概念である。谷口さんは、異なる「信者」を混同したのをそのまま作中シーンに使用している。

そもそも、歌手が民衆から救世主として祭り上げられた事例は、私が知る限り世界史で一つもない。谷口さんは、このシーンのように「歌手に世界を救うよう祈りをささげる人」を見たことがあるというのだろうか?

森の中で女性たちが祈っているシーン
(出典:『ONE PIECE FILM RED』公式サイト オフィシャルインタビュー

アニメ業界はこれまで、一般社会で人々をうならせる秀作を数多く世に送ってきた。また、社会派といわれる映画監督では、今すぐ国会で質疑応答ができるほど高度な知識を備えた人もそうめずらしくはない。谷口悟朗さんは外部メディアでも「社会的弱者を描いた」旨の発言を繰り返しているのだが、もし『ONE PIECE FILM RED』をその言葉通りの作品だと期待して観に行ったら、ひどい肩すかしを食らうことになるだろう。

なぜこのようなシーンが世に出るところまで行き着いたのだろう? なぜ谷口さんはそのような自己認識を抱いたのだろう? 製作現場には、谷口さんにおかしいと指摘する人はいなかったのだろうか? それは関係者以外、誰にも分からない。

離れてゆくファン―集めたコミックスを売る波

映画レビュー読者からの反響を受け、私はワンピースファンの間で一体何が起こっているのだろうかと、SNSを回って歩くことにした。

そこで私が見たものは、『ワンピース』やその作者である尾田さんに最後の言葉を残し、それまで愛読してきたコミックス100冊以上を売り払う波だった。

彼らが最後にぶつけた感情の濃さ、強烈さには驚くべきものがあった。

彼らのSNSアカウントの多くは、投稿が2022年11月で止まっていたり、日常アカウントに鞍替えしていたりする。一部のアカウントは、すでに削除されている。

悲しい、さびしい

私の目にまず入ってきたのは、悲しい、さびしいという声だった。

「ルフィがすっかり変わってしまってさびしい」「今週のワンピ読んだけどもう盛り上がれなかった。気持ちが離れちゃってる」「ルフィ達の冒険を最後まで見届けたかったけど、もう尾田先生にはついていけません」。私が何度も出会ったのが、「25年間ありがとう。さようなら」という文言だった。

『フィルムレッド』の公開直後から、ネット上のワンピースファンコミュニティには分裂が生じ、言い争いが絶えない日々が続いていたそうだ。中傷コメントを付けられている人も少なくなかった。

そこで11月に始まった副音声上映は、いったんはワンピースにとどまっていた一団にとって致命打となったようだ。「映画館で副音声を聞きながら涙が止まらなくなった」と長々綴っている人もいた。

作品それ自体だけではなく、それにまつわる思い出への言及も多かった。「20年間ルフィたちと泣き笑いしてきました」「ワンピを否定することは自分のこれまでの人生を否定するみたいな感覚」「友達が漫画全巻売ってた」などと、声には悲痛さがにじみ出ていた。

ワンピースを家族で楽しんでいたという読者では、「一緒にフィルムレッドを観に行って以来父親がジャンプを買ってこなくなった」「東京ワンピースタワーに家族で旅行に行ったこともある。この大事な思い出をどうすればいいんだろう」など、戸惑い交じりの声もみられた。

物語の根幹が変更されたことで、大切な思い出まで壊れてしまったように感じられたことが、集めたコミックスを売り払うほど深い悲しみにつながったようだった。

怒り、恨みを生んだ創作姿勢

悲しい、さびしいといった声の傍ら、怒りの声も噴出していた。「絶対許さない」「一生恨む」など、怒りの度合いは強烈だった。

読者の熱意と尾田さんの創作姿勢に生じた深い溝

「25年間描きつづけた物語はそんな軽いものだったんだな」「ワンピースに興味失くしたならそんなのさっさとたたんでウタピースでも始めればいいじゃん」。こうした怒りの背景には、映画用キャラ一人のために物語の根幹を変更したのが「軽率だ」という受け止めがみられた。

読者側は、『ONE PIECE』を心から面白いと思ってきたし、それは尾田さんにとって25年かける大事な大作だと信じて疑っていなかった。そんな読者の思い入れや信頼と、作者の言動、態度との間で、深い溝があらわになった形だ。

愛読書が不快感の対象に変貌

「週末売りに行くけどとりあえず押し入れの中に入れた。目に入る場所から移したかったから」「(Twitterで)公式をブロックした」などと、『ワンピース』が不快感の対象に変わったことがうかがえる声も複数みられた。

これには、ウタのキャラクター性と、『フィルムレッド』のプロモーションが大きく関わっていると思われる。

もとより、美少女キャラクターはアダルトに準ずる性質ゆえ、目に入っただけで強い拒絶反応を示す人が一定数必ず出る。ウタは、それにプラスして、多くの人が大事に思ってきた物語の根幹をゆるがすキャラでもあった。

『フィルムレッド』には異常なほどのプロモーション網が張られ、しかも宣伝広告に使われるのはルフィではなくウタに集中していた。単行本では101~104巻の巻末に映画の宣伝ページが設けられ、ウタがシャンクスの娘であることまでしっかり記載されている。ウタは、原作の扉絵や本編のコマにも登場。「らくがきコーナー」のイラストは例外なく公式SNSでシェアされ、「ジャンプ」の表紙にも一年で3回という異例な回数登場した。見たくないコンテンツを断続的に見せつけられる結果となったことで、ワンピースそのものから離れなければという思いが生じたのではないかと思われる。

ただそうしたところで、同作のプロモーションは国内にいる限り見ないではいられないほど大規模だった。テレビCMは大量に流され、2022年末には紅白歌合戦など6つの音楽番組に「ウタ」が出演(放映されたのはウタのCG映像)。その「ゴリ押し」は、元ファンの印象をさらに悪化させたようだ。

噴出したお金への感情

こうした怒れるファンが突然言及し始めたのが、「お金」だった。

ある読者は、小さいころからずっとワンピースを追ってきたという。文章からは、少ないお小遣いでコミックス一冊買うのにも苦労していた様子がうかがえた。現在の年齢は定かではないが、すでに大人並みに成長しているようで、突いたところは鋭く、手厳しかった。曰く、尾田さんはたとえ今後ストーリーの展開や作風がどうなろうが、売り上げが下がろうが、極端な話打ち切りになろうが、すでに十分稼いでいる。その陰で真面目に向き合ってきたファンの心はないがしろにされ、泣きをみた、という。中傷的な文面ではなかった。

ワンピースに使うお金はこの映画を最後する、と言う人は、私の目につく範囲だけで複数みられた。

人が好きなマンガに払うお金は、喜んで出すお金だ。そもそもエンタメは、対価と釣り合う価値をシビアに求めるような分野ではない。何が出るのか、おもしろいのかイマイチか、見るまで分からないワクワク感もエンタメの一部である。しかし、作品がいいかげんだったら話は別だ。無駄遣いだった、この作者はこんなもので金をとるのかと、突如怒りが湧いてくる。私は、期待ほどおもしろくなかったゲームの代金6000円は少しも気にしていないが、監督の”お友達”で演技経験ゼロの素人が主役を演じた某映画だけは、レンタルビデオ代の200円を今でも根に持っている。その映画監督のことは、アーティストとしても人としても信用していない。

『ONE PIECE』に喜んでお金を使ってきたファンたちには、連載25年目にして尾田さんが物語の設定を変えると言い出したことは、本気だった読者を馬鹿にしているように受け止められたようだった。

失われた信頼と尊敬の念

「(尾田さんのことを)もう信じられない」「尾田先生のことをこれからは尾田おじさんと呼ぶ」といった声もあった。かつて世間が寄せた、人々を感動させる偉大なマンガ家への尊敬は、彼らの中ではすっかり消えてしまったようだ。

また、ここ数年のテレビ番組「ホンマでっか!?TV」やインタビュー、対談、そして副音声上映での発言からは、「正直天狗になりすぎだと思う」「鬼滅の刃が大ヒットしてからもっとおかしくなってきたな…と感じる」などと、尾田さんの態度を指摘する人も多かった。ソースは現在確認が取れないものが少なくないが、長年言動を見てきたファンはそのように感じているようだ。『フィルムレッド』関連でいえば、103巻巻末の宣伝ページをはじめ、関わった人の有名さばかりを強調しているのは事実である。

私は、映画レビューの読者から教えてもらった『ONE PIECE magazine Vol.15』を読んでみた。なるほど、確かに

谷口さん・黒岩さんから、まずシャンクスの”娘”を出したいという提案が来ました。(中略)僕が総合プロデューサーとして関わるならば、読者への信頼も保証できます。じゃあ”娘”で行きましょうと。(後略)(55頁)

などというところからは、「尾田栄一郎」と名が連なっていれば読者はどんな中身でも肯定するかのような意識が見え隠れした。

マンガの読者には、作品そのものだけを楽しむので作者には興味がない、というスタンスの人はけっこういる。熱心なファンだからといって、みながみなアニメや映画まで目を通しているわけでもない。普通だったら、派生作品一本でファンが離れるなどといった大事には至らない。だが、この『フィルムレッド』に限っては、ウタの存在と作者の「軽率」と言われるような創作姿勢は四方八方から伝わり、同作にノータッチだった人々の目や耳に届いた。『ONE PIECE FILM RED』のレビューを書いた私が見たのは、作品内外から伝わる作者・尾田さんの創作姿勢が、その信用を失墜させ、尊敬の念を吹き消し、あきれたファンが次々と去っていく光景だった。

なぜ尾田さんは『フィルムレッド』を売り込んだのか?

前述の通り、『フィルムレッド』のストーリーは二次創作さながらだった。頭のいいプロの天才マンガ家なら、そのおかしさに気付かない はずがないがない。

では、原作者で総合プロデューサーの尾田さんは、なぜ25年描き続けた自分の作品を破壊しかねない映画にゴーサインを出したのだろう? なぜ自画自賛の宣伝を繰り返したのか。背後にどんな力関係があったのだろう、立場が弱くて首を縦に振らされたのではないか、と勘ぐった読者もいることだろう。

実は当初、国内では、ファンの怒りは監督の谷口悟朗さんに向く傾向だった。製作現場は外から見えないものの、シャンクスの娘を出したい、ウタを世界の歌姫にしたいと発案したのが谷口さんだということは、インタビューや劇場パンフレットで明らかになっていたからだ。一部ファンの尾田さんに対する見方は、無理やりやらされているのではないか、というように同情的だった。

ところが、しだいに怒りの矛先は尾田さんに向いていった。なぜなら、本人の裁量がきかないとは思えない場面で、尾田さんがウタを売り込んだからだ。

例えば、8月27日に配布が始まった劇場入場者特典第3弾「巻4/4″UTA”」の作者紹介欄では、

(前略)このコミックスは”ウタ”に関する事のみの本です! ウタちゃん、好きですか?(後略)

と、まるでアイドルのファンのように”推す”コメントをした。

さらに、11月に発売された104巻の「ウソップギャラリー海賊団」では、題字に、読者が美少女キャラクターらしく描いたウタを採用。

そう思って見返せば、「らくがきコーナー」2022年6月7日更新の

(前略)そして8月6日公開の映画「RED」超ご期待ください!!コレに関しては面白い現象が起きてます。映画製作スタッフ全員ウタちゃんが大好き♡笑(中略)いずれ皆さんも同じ気持ちになるのは間違いないです!!(後略)

に始まり、同12月18日には

(前略)ウタちゃんの紅白出場!「TVツアー」も今だけなのでぜひ楽しんでね。(後略)

など、尾田さんはウタをたびたび「ちゃん付け」で呼んでいる。

さらに同12月21日、尾田さんは何の前触れもなくワンピース公式SNSで動画作品「絵描きウタ」を発表。この動画は映画のプロモーションに寄与するとは思われず、必要性がみられない。スタッフクレジットでは「うっかり、遊びで、作りましたー!!」と書いている。

作者紹介欄や、イラストコーナーの選考、キャラの呼び方で本人に決定権がなかったとは考えにくいので、尾田さんは外部からの圧力なしに、ウタというキャラを自ら率先して売り込んだのだと思われる。

マンガ家がヤング/アダルト化に踏み切る3つの理由

では、なぜ尾田さんは率先してウタを描くようになったのだろうか?

前述の通り、美少女キャラクターはヤングアダルトコンテンツである。言い換えれば準ポルノであるため、一般作の範囲からはやや外れ、作品の中身が評価されることはなくなる。アートとしては「新時代」をつくるどころか、作品を投げたも同然だ。マンガ家としては、作家生命を断たれかねない。

マンガ家がヤング/アダルト路線に転向するとき、その理由はほぼ固定されている。すなわち、

  1. ネタ切れ
  2. 人気取り
  3. 金銭

である。多くの場合、複数を兼ねている。

一般作がヤング/アダルトに転じた場合、それまでの読者は去り、新たに美少女目当ての層が入ってくるのが定石だ。ただし、その人気は長続きしない。ヤング/アダルトコンテンツは、消費されては消えていく、いくらでも代わりがあるものだからだ。

また、ひとたびヤング/アダルト化に踏み切ったら、その作品が元に戻ることはほぼ見込めない。一度美少女で人を集めたマンガでどんなすばらしいことを言おうが、読者はもうカッコいいとは思わないからだ。ヤング/アダルト化は、行き詰まったマンガ家の最後の手段といえるだろう。

では、尾田さんにはこのような事情があったのだろうか?

ネタ切れを起こしていたのか?

冒頭で述べた通り、以前から、尾田さんは最終章の盛り上がりとラストは始めから頭にあると繰り返し述べてきた。

連載前から練っておいたラストをいよいよ描くという時なのだから、ネタ切れからはほど遠いはずだ。

人気が低迷していたのか?

上記の通り、「少年ジャンプ」は人気が落ちた作品をすぐ打ち切りにすることで知られるが、2022年時点まで、『ワンピース』は人気作品として不動である。

したがって、美少女キャラクターを出してまで人気回復しなければならない状況はなかった。

金銭的な問題を抱えていたのか?

作品をヤング/アダルト化させるのは、金を稼ぐ最もチープな方法だ。

尾田さんの年収は、今日でも複数のネットメディアが試算を試みている。真偽は分からないが、一部のメディアは「週刊文春」のころより多く30億円以上と出している。

尾田さんの私生活は分からないし、詮索すべきでもないが、著作物から高額収入があったということは断定できる。

以上を考慮すると、尾田さんが25年かけて描いてきた『ワンピース』の物語の根本を変えてまで美少女歌姫を売り込んだのは、本人がウタに心底夢中になったからだと考えるのが、最も自然ではある。

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(※本稿は、目立った言動や作風の変化などがあったときにはアップデートします。筆者はコミックス派です。また、最終回を迎えた時には、総括的な批評を書き下ろす予定です。)

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【参考文献】

『ONE PIECE』1巻~103巻、尾田栄一郎、集英社、1997~2022年

『ONE PIECE BLUE DEEP CHARACTERS WORLD』尾田栄一郎、集英社、2012年

『ONE PIECE FILM RED』劇場パンフレット 尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会、東映(株)事業推進部、2022年8月6日

同劇場入場者特典「巻四十億」「巻4/4」尾田栄一郎

『ONE PIECE magazine Vol.15』尾田栄一郎、集英社、2022年

ビッグ・ドクター家庭医学大全科 法研 2004年

扁桃周囲炎と扁桃周囲膿瘍 MSDマニュアル家庭版

遺された”戦争”~残留日本兵 横井庄一 NHK、2022年4月3日放送

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集英社「週刊少年ジャンプ」公式サイト

週刊少年ジャンプ連載作品の一覧 – Wikipedia

東映アニメーション公式サイト

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