ネットで知り合った相手に会おうとしているあなたの防犯基礎知識

インターネット上で知り合った相手と実際に会った人が犯罪に巻き込まれるケースが多数報告されています。被害者の多くは十代。直接会う前に想像したのとはまったく違う人物によって恐ろしい目に遭い、一生心に残る深い傷を負っています。

これを読んでいるあなたは、ネットで知り合った誰かに会おう、泊めてもらおうなどと考えていますか? もしそうなら、悪いことは言わないので絶対にストップしてください。本気です。(私がなぜそう言うかはこちらをどうぞ。)

この記事では、ネット上での危険人物の見分け方、あやしいと感じたときや危ない目に遭ってしまった場合にどうすればいいか、さらには家庭に虐待やDVなどがあって困っている場合についてまとめます。

いわゆるヤンキー家庭で生まれ育ったなどの理由で「一般常識が分からない」と悩んでいる方、防犯の知識はここにしっかりまとめました。必ず読んでいってください。取り返しのつかない事態を避けるのに役立ちます。「大丈夫だよ」という方も、ネットや法律についての知識を織り込んであるので、念のため目を通せば損はありません。

ネット上での危険な人の見分け方

もしあなたが「ネットで知り合った誰それに会おうかな」と考えているなら

  • ちょっと不安だな……。
  • ネット上に限らず、自分はだまされやすい気がする……。
  • たぶん平気だよ。犯罪なんて大げさな。友達が「全然平気だった」って言ってたよ。
  • 男にだまされたことはあるけど、今度の人とは絶対幸せになる! だって昨日もらったメッセージも超やさしかったもん!
  • 自分のことをこんなに深く理解してくれる人はほかにいない。
  • ネットで知り合ったといっても趣味の仲間だから犯罪めいたことが話題にのぼったことはないし、自分に危害を加えてくるとは思えないけど?
  • 自分はもう成人しているので、犯罪者のターゲットではないと思う

など、人によってさまざまな思いを抱えているかと思います。ただ先に言ってしまうと、ネット上の友達とは「”リアル”では会わない」が基本かつ大前提なんですよ。

高校生がネット上の友達に会いに行ったら、相手が実は大人の変質者で――などという話はどこかしらで聞いたことがあるかと思います。私からもう一言加えておくなら、こうした被害に遭っているのは、とりわけ家庭での暴力に耐えかね、着の身着のままで家出を考えているような未成年者。「まさに自分がそう……」とドキッとした読者もいるでしょう。

ただ、決して被害者全員が未成年なわけではありません。大学生などの成人が、ネット上でつながったマンガやゲームなどのファン仲間に会いに行ったら相手が実は最初から犯罪目的だった、などの事例はあります。成人で一般常識が身に付いており、自分の判断力にある程度自信があるからこそ、「まさか自分に限って」と油断してしまう可能性はなきにしもあらず。だからこそ、「”リアル”では会わない」をドンと基本かつ大前提にすえておきたいところです。

ではここで、スクリーンの向こうの相手が危険人物かどうか見分けるポイントを挙げようと思います。あなたが会おうとしている人、このどれかに当てはまってはいませんか?

1:やりとりの最終段階に犯罪利益が……

犯罪者の行為は、必ず犯罪利益につながっています。金、勧誘、わいせつ目的などです。

そう聞いて、もしかしたら「自分は犯罪者に巻き上げられるほどの大金を持ってない」と思った人がいるかもしれません。しかし、次の具体例リストで紹介しますが、「金目的」というのはなにも財布からお札を奪い取ることだけをいうのではないのです。プロの犯罪者は、もっと遠回しな方法で、お金がない人から金を巻き上げます。さらに、相手がわいせつ目的だった場合は、会いに行ってしまった時点で犯罪に巻き込まれたも同然です。犯罪者の目的物は、あなたの身なのですから。

犯罪者の言葉は非常に巧みで、優しく、もっともらしく、「私のことをこんなに理解してくれる人は他にいない!」と感動するほどだといいます。が、それこそがプロの技。その言葉に中身はありません。ネットでは顔が見えないのをいいことに、心にもない甘い言葉を打って犯罪を成し遂げようと画策しているのです。

言葉と実情がかけ離れている例といえば、オレオレ詐欺でしょう。電話口で「会社の金を電車に置き忘れたんだ。今日の3時までに170万円用意しないとクビになっちゃうんだよ!」とお年寄りの息子を演じている詐欺師を想像してみてください。この話とキャラ設定、根本的に全部ウソですよね。これと同じ原理です。

ターゲットを釣ろうとしている犯罪者が最初だけすごく優しいというのは、定番中の定番です。あなたをだまして利益を巻き上げることが最終目的ですので、仲良くなっていく段階を踏んだ先が相手にとっての利益につながっていないか、考えてみてください

犯罪者はこんなことを言ってくる

分かりやすくなると思うので、犯罪者がよく言うこと・持ちかけてくることの具体例を挙げておきます。

  • ネックレスを買わないかと持ちかけられた。→金目当てです。詐欺。
  • 一般社会では手に入らないもの(薬物など)を売ってあげると言われた。→金目的で、犯罪への勧誘を兼ねている可能性大。まちがいなく犯罪者。危険!
  • 一般社会では誰もやってくれないことを請け負ってくれた(「自殺を助けてあげる」など)。→相手が犯罪者でないことが現実的にあり得ません。まともな人は、あなたの主観だけでなく、様々な状況や条件を考えて行動します。一般社会のまともな人がやらないことをやると申し出てきた相手が、あなたの期待に添う人物だということは絶対にありえません。危険!
  • バイトを紹介してくれるらしい。→オレオレ詐欺などの犯罪活動、犯罪グループ、アダルト産業などへの勧誘につながっています。あなたを働かせるわけですから、つまりは金目当てということ。親切心ではありません。危険!
  • 泊めてあげるよ。→危険! 犯罪(とりわけ性犯罪)の危険性マックス。

こんなことを言われたら、絶対におかしいです。相手の態度や雰囲気(親切そう、優しそう、親身になってくれるなど)ではなく、持ちかけられたことの内容だけで判断してください。また、相手の説明によって「大丈夫だ」とは絶対に判断しないでください。こういう話を持ち出してくる相手は、最高の理解者や、気の合う同い年の友達や、甘くて優しい恋人をスクリーンの向こうで演じている、危険人物です。

パソコンの画面に映る犯罪者
画面の向こうの相手は、こんな人物かもしれない。

ネットで知り合ったこのような相手に実際会って犯罪に巻き込まれ、ひどく傷ついた人がすでにたくさん出ています。

もしかしたら、会ったけど平気だったという人が身近にいるから自分も平気だろう、と考えている読者もいるかもしれません。しかし、安全だったのにはいくつもの条件があったはずなんですよ。なんといっても代表的なのは、商談だったケースです。新しい業務提携先を探している会社がネットで別の会社を見つけ、互いに営業マンを交渉に行かせる、といった場面を想像してください。あるいは商談でなければ、クラブや習い事、ビジネスの会合なんかで全員の身元が分かることが前提だった場合。このように、ネットの知り合いに”リアル”で会って平気だったのは、実際には「ネットで知り合った友達と会う」なんていうのとは概念違いの出来事なんですよ。あるいは、「平気だった」と言っている本人が、犯罪へのステップの途中段階にあることに気づいていないか。二つに一つです。

後悔先に立たず。最悪な結果を避けるため、「たぶん平気」などと根拠のない楽観視をせず、必ず立ち止まってください。

2:熱くなっていませんか

インターネットは、世に広まり出した当初から「感情が急速に高まりやすいメディアだ」と言われています。つまり、「この人好き」も、「この人ムカつく」も、「この人は安心だ」も、ネット上のコミュニケーションだと思いが一気に突っ走りやすいということです。

なので、「この人は平気だろう」で気持ちで固まりかけているなら、信用に足らないような人物への信用が一気にふくれあがっていないか、いったん頭を冷やして考えることを勧めます。急いているとき、人は判断を誤りやすいですよね。取り返しのつかない失敗を避けるためには、立ち止まり、ひと呼吸おくのが効果的です。

そして大事なポイントは、住所や電話番号、メールアドレスなど個人情報は教えないこと。これはネットの利用全体でいえる鉄則です。

3:誘導されているかも……?

犯罪者は、あなたが一人で会いに来るよう仕向けるなど、あなたを世間から切り離すよう誘導しがちです(必ずではありませんが)。あなたに後ろ盾がいては困るからです。これを逆手にとれば、犯罪者を見分ける手がかりになります。

もし相手の言うことが「親も友達も学校も警察も、みんなあてにならない。本当にあなたのためを思っていて助けられるのは自分だけだ。だから会おう」という雰囲気になってきたら、ストップ。怪しいです。すぐに安全策をとってください。

あやしいと感じたら

ここまで読んできて「あやしい兆候」に相手があてはまると感じたら、すぐに関係を断ち切りましょう。相手の前からいなくなってしまえばいいです。ネット上でのやり取りだけでまだ直接会ってはいない、個人情報も教えていないというなら、ブツッと切るのもむずかしくありません。

まずは返事をやめる。無視しているうちにからんでこなくなれば、それでよし。SNSだったらブロック機能がありますし、アカウントを削除すれば相手は二度とあなたを探せません。万が一すでに電話番号やメールアドレスなどを教えてしまっていたら、受信制限をかけることが可能です(相談するなら警察へ)。

犯罪者はターゲットを自分の手に落とすのに全身全霊をかけますが、一方で、犯罪利益を得られないことにはかまっていられない、警察がからんでくるのは怖い、という事情もかかえています。あなたを深追いはできないかもしれませんし、そもそもあなたに対してそこまでのこだわりを持っていないかもしれません。

くり返しますが、あやしいと感じたらすぐに関係を断ち切りましょう。

万が一の場合は

脅される、付きまとわれるなどして危険を感じるなら、警察へ相談を。万が一犯罪に遭ってしまったら、迷わず警察へ。なにはともあれ一人でかかえこまず、誰かに相談することこそ最重要なポイントです。

もしかすると、あなたは他人に言いにくい複雑な事情を抱えているかもしれません。

念のためですが、犯罪者から「警察はお前を助けはしない」というようなことを言われる場合があるかもしれません。が、それは犯罪者が警察の手を逃れるための真っ赤なウソです。あなたが警察へ行かないようしむけているだけ。法律は、あなたが犯罪に遭ったという客観的事実だけを扱います。あなたに非があるかどうかなんていう話自体がそもそもないので、心配はいりません。

警察へ行きましょう。犯罪者が最も恐れるのは警察です

とは言っても、家にいられないんだけど……

「よし、犯罪者かもしれない人に賭けるのはやめた。でも、実際問題どうしよう。家では虐待される。DVがあるからいられない。誰かに泊めてほしい」……などというそこのあなた。

最近ではDVや児童虐待などの認知度が上がってきて、支援や保護に取り組む機関も増えました守ってくれる人はいます「どうせあてにならない」と見限ってしまえば、せっかくの可能性を逃してしまいます。本当はいるんです! 手近なところでは、まず学校の先生に相談するのがいいでしょう。「自分はぶっちゃけグレてるから、先生は無理……」という人でも大丈夫。普段の学校生活うんぬんと虐待への対処はまったく別なので、思い切って真剣に話してみてください。気持ちは必ず伝わります。なんならこの文章を見せてもOK。公的機関の電話相談なんかもあります。「自分の親は世間的には地位もあるから、信じてもらえないかも……」という人も大丈夫。こういった問題に対処している組織等は、そういうケースを普段から扱っているので想定内です。そういう子が保護され助かったケースは多々あります。

ネットで知り合ったどこの誰かもわからない相手ではなく、実社会で日々こうした事案に対応している機関へ行きましょう。子ども側が先生などに直訴して児童相談所につないでもらい、保護につながったケースは多数報告されています

おわりに

すべてのテクノロジーは、使う人間によって良いものにも悪いものにもなります。インターネットも同じです。ネットは、うまく使えばとても役立ちます。私は決してネット上での交流を全否定しているわけではありません。遠くの人とつながり交流できるのは、ネットが可能にしたすばらしい楽しみだと思います。

ただ、ネットで知り合った相手と”リアル”で会った人が次々と犯罪に巻き込まれているのもまた事実です。インターネットという技術を悪用する犯罪者は、すでに大量に出ています。そして残念ながら、その毒牙にかかった人も……。

もっと生々しい話をすると、「泊めてくれる人を探している」という十代には、家庭で虐待されている子が多いんですよね。もともと虐待で苦しんでいる子が犯罪でさらに傷つくなど、私には耐え難いもはなはだしいのです。

世の中には本当に怖い人がいるので、気をつけてくださいね。もしもあなた自身ではなく友達がネット友達に会おうとしているなら、必ず止めてあげてください。後悔先に立たずです。

危険は避けられます。必要なのは予備知識です。ネットのことを先に学んで、快適で安全なネットライフを。虐待やDVには、適切な対応が存在しています。スクリーン越しの顔が見えない人を頼る必要はありません。

末尾になりますが、普通の人間は、困っている人がいたら心を痛め、助けたいと願うものですよね。なのに犯罪者や犯罪組織は、もともと追いつめられた未成年者の苦しみにつけ入り、さらに苦しめた上で犯罪利益をむしり取る。言語道断です。とんでもない悪人です。こうした犯罪者や犯罪組織に、我々はもっと厳しく冷たい目を向けるべきでしょう。

リンク・参考

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TwitterやLINEの乗っ取り対策と、SNSの今後 – ネット上の知り合いと会うこととは直接関係ありませんが、アカウント乗っ取りは怖いので対策をまとめておきました。ネット世界全体でいま何が起こっているのかも書いてありますので、ぜひ。

※性質上、この記事はのちにアップデートされることがあります。