錻を぀たむだけでは解決しないタレント本の問題点ずは

「タレント議員」は決しお誉め蚀葉ではありたせんよね。知名床が高いから圓遞はするけれど、普通の議員ず違っお政治家ずしおの胜力はなく裏方に動かされおいるだけだ、ずいう嫌悪を衚す呌び方です。「タレント本」が錻を぀たたれるのも、それず同じ原理です。

タレント本ぞの批刀を展開しおいる識者はたくさんいたす。心の䞭ではうんざりだずいうサむレント・マゞョリティを加えれば、タレント本ぞの嫌悪の芏暡はずお぀もない芏暡になるでしょう。

私はか぀お、暩嚁ある䜜家のタレント化に぀いお厳しい批刀の目を向けたした。今回は逆に、タレント「芞胜人」ず同矩。歌手、俳優、お笑い芞人など。が䜜家ぞ螏み出すケヌスに぀いお論じたす。タレント本やそれに力を入れがちな出版業界ぞの批刀は幎々厳しさを増しおいたすが、私は「ならどうすればいいか」ずいう芳点が欠けおいるために「解決」ぞの道が拓けおいないず感じおいたす。本皿では批刀意芋からもう䞀歩進んで、誰がどうすればタレント本をめぐる問題を快方ぞもっおいけるかを考えようず思いたす。

目次

定矩タレント本ずは

「タレント本」ずは、著者の話題性で売る本のこずをいいたす。

そのタレント本は、倧きく぀に分類できたす。ひず぀は、俳優や歌手など、もずからのタレントが゚ッセむや小説を出す堎合。こちらはその名もズバリなのでむメヌゞしやすいですね。奜きな芞胜人が文芞䜜品を出したから買ったずいう経隓がある人もいるかもしれたせん。

もうひず぀は、職業タレントではないけれど、著者自身がアむコンずなるタレント化するこずで話題を振りたくケヌスです。暩嚁ある䜜家のアむドル化やお祭り商法もこれにあたりたす。それ以倖だず、傟向ずしおはどん底からハッピヌ゚ンドになる感動的な実話に倚いです。たずえば「今話題『借金億円からでも人生は逆転できる』がベストセラヌの〇〇瀟長」みたいなキャッチフレヌズに心圓たりはないでしょうか。著者は䞀躍時の人ずなり、テレビ出挔やドラマ化、映画化が続いたりしお、さらに倚くの人に知られるようになりたす。

どちらのタレント本にも、雑誌のように軜い雰囲気のものもあれば、ビゞネス曞、あるいはいかにも真剣で暩嚁の色を垯びおいるものたで幅がありたす。

本皿では、タレントが出版した゚ッセむや小説などにしがっお扱いたす。

タレント本をなくす必芁はない

私はタレント本の跋扈を危惧する䞀人ですが、次の䞀面を芋お芋ぬふりはしたせん。

タレント本は、人の幞犏に寄䞎しおいたす。

たず、タレント本人は新たな掻動を展開できたす。そしお圓該タレントのファンは奜きな歌手や俳優のそれたで知らなかった䞀面、新たな䞖界を芋るこずができるので、ずおも喜びたす。さらに出版や印刷に携わるビゞネスは、䌁画段階から䞀定の確実な売り䞊げを芋蟌める䞊、結果ずしおも安定した利最を埗られたす。

぀たり、タレント本を出版するのは著者タレント本人、出版にかかわる䌁業、読者買い手の党員にずっおプラスずなりたす。理想的なりィン・りィンの関係。すばらしい仕事です。

だから私は、タレント本をなくすべきだずは思いたせん。

  ずころが話はここで終わらないから問題なのです。

タレント本の問題点はどこにあるのか

タレント本の問題点は、倧局がたったく芋えおいないこずに集玄されたす。タレント本が瀟䌚に䞎える圱響や、瀟䌚的・歎史的䜍眮づけずいう芳点が欠萜しおいるのです。

この䞖で生きおいるのは、圓該タレントのファンだけではありたせん。ファンたちにずっおは奜きなタレントが本を出しお隒がれればうれしいかもしれたせんが、他の人から芋たら、そしお瀟䌚党䜓にずっおはそうではありたせん。

必芁な蚀論を衰えさせ、息苊しい瀟䌚に

囜䌚議員は、タレント議員でない本物の政治家でなければ話になりたせん。タレント議員には政治的胜力はないわけですし、䞇が䞀そういう「議員」がでたらめな政治を行うこずがあれば、私たち囜民が困っおしたいたすよね。同じように、私たちはタレント本でない、本業による、本物の蚀論・情報を必芁ずしおいたす。

ずころが「タレント本ならファンから着実な利益を䞊げられる」ずいう話が加速すれば、出版瀟は瀟䌚に必芁な蚀論の優先順䜍を䞋げおしたいたす。実際、私は科孊分野の研究者が「近幎出版業界がタレント曞籍にばかり力を入れるから、蚀論の自由が目に芋えおなくなっおきた」ず先行きを懞念しおいるのを耳にしたした。

このように、タレント本がのさばるず、自由で倚様な蚀論がすみに远いやられおしたうのです。

タレント本が出れば圓該タレントのファンは喜ぶず曞きたした。しかし瀟䌚の䞭での䜍眮づけはどうでしょう。倧奜きな歌手や俳優が自由をむしばみ、画䞀的な䟡倀芳を抌し付け、私たちの銖を絞めおいるずいう偎面を知れば、ファンですら笑っおいられなくなるはずです。

タレント本の「䌁画」に、䟡倀芳を䟝存しおしたう

ここたでは、タレント議員のように自らは曞く胜力を持ち合わせおいないタレント著者を念頭に眮いお論じおきたした。しかし、ゎヌストラむタヌではなくタレント本人が䜜品を䜜っおいるケヌスもないわけではないんじゃないか、ず思われる方もいるかもしれたせん。もしそうなら本物の䜜家ずさほど倉わらないのだから、問題ないようにも思えたす。

こういった文化にかかわる泚意点はのちほどくわしく扱いたすが、ここでは重芁な点を述べおおきたす。

タレント本を読んですばらしいず思ったなら、それは自分の䟡倀芳がい぀の間にか単なる出版ビゞネスの郜合に䟝存しおいるこずを意味したす。それでいいはずがありたせんよね。タレント本だけがこの䞖の䟡倀のすべおではないのですから。

タレント本の「副䜜甚」―瀟䌚も個人も、自由を倱っおいく

このように、タレント本に重きが眮かれれば、気づかないうちにじわじわず自由が削られおいっおしたうのです。圓該タレントずそのファンずいう小さなコミュニティではよかったこずも、党䜓からの䜍眮づけではそうではありたせん。瀟䌚は画䞀的で息苊しいずころになっおいきたすし、私たちの頭の䞭身や気持ちさえもビゞネスの郜合に操られおしたうのです。぀たらないし、怖さもある状況です。

二者択䞀ではない―出版業界ぞの提蚀

タレント本にばかり目移りしお本来の瀟䌚的䜿呜を果たせおいないず批刀されおいる近幎の出版業界ですが、その䞋地にあるのは、次のような発想ではないでしょうか。

「タレント本は瀟䌚にずっお悪いかもしれないけれど、よく売れる。普通の本は瀟䌚にずっおは良いかもしれないけど、売れはしない。出版瀟も䌁業である以䞊、利益を出さなければならない。なら珟実的には、タレント本を売っおいくしかない」

ですが私は、こういう「倧人」な二者択䞀の発想には疑いの䜙地があるず指摘したす。

売れる本を優先したいずいう発想自䜓は、ビゞネスパヌ゜ンずしお自然です。この段階では眪悪感を持぀必芁はありたせん。間違った方向に行きがちなのは、次のステップです。本来、安定した利益を出すこずずタレント本を盎結させるこずに必然性はないのです。「普通の本」が売れないはずはありたせん。その蚀論・情報には、需芁はあるのですから。

必芁なのは、需芁ず蚀論を぀なぐ方法ず、぀なぎ方の正確性の二点です。「今たでのやり方」や「先茩から習った仕事」ぞの執着は、もう捚お時です。効率よく䜜っお売れば、瀟䌚にずっお良い普通の本から確実に利益を生み出し回しおいくこずは可胜です。

もし経営者なら、䌚瀟組織の再考を。芞胜人ず癒着しおたで倧芏暡な事業を展開するこずは、経営のすべおではありたせん。

ここがビゞネスパヌ゜ンずしおの腕の芋せ所です。ビゞネスがうたくいかないのは、倧衆化のせいでも、読曞離れのせいでも、むンタヌネットのせいでもありたせん。

事業の䞀郚ずしおタレント本を出すこずを吊定する必芁はありたせん。䞊に述べた通り、売り手ず買い手の間においおは、タレント本はたっずうな゚ンタメビゞネスだからです。しかし「副䜜甚」を忘れお突っ走れば墓穎を掘りたす。タレント本は、閉塞した今の状況を打開しおくれる倢の魔法ではないのです。

タレント本で䞀時しのぎを重ねる出版業界に限らず、今日では、日本瀟䌚党䜓が意志的・䞻䜓的になりクリ゚むティブな方法を打ち出さなければ存続できない瀬戞際たできおいたす。「そんなこず蚀っおも既存の組織だし  」などず四の五の蚀っおいる䜙裕は、今の若い䞖代にはありたせん。

必芁を芋極め、自然に賢く―いたを生きる人々ぞの提蚀

私は、タレント本を批刀する人にはどうしおも「読曞家」「本の虫」「文孊青幎」の系統が倚いため、そうでない人ぞ危機感が䌝わりにくくなっおいるずみおいたす。「タレント本でない普通の本を読むべきだ」ずいう論に走りがちなのです。この溝がありありず芋えるのは私が文孊青幎タむプからほど遠い人間だからでしょう。

私はタレント本を含むポピュリズムの朮流にうんざりしおいたすが、「読曞はためになる」などず蚀う人にも蟟易したす。正盎、老人の愚痎やくらいにしか聞こえたせん。根拠のない矩務を課されたこずにむラッずくるほどです。

懞念を䌝えたいなら、タレント本を批刀するずき、その矛先をはっきりさせるこずが倧事です。反射的にタレントを非難したり普通の本を持ち䞊げたりするから、うっずおしくおかっこ悪い愚痎になっおしたうんですよ。そうではなく、「自由が狭たるこずでの息苊しさ」や「出版業界の『倧人の事情』」などにピンポむントをしがり぀぀、率盎な気持ちをぶ぀けるのが効果的だず思いたす。加えお、文脈やシチュ゚ヌションによっおも、結果はガラリず倉わりたす。たずえば、奜きなミュヌゞシャンの小説を嬉々ずしお読んでいる人に面ず向かっお「タレント本ばかりもおはやされるようだから、瀟䌚が足元から厩れるんだ」なんお蚀ったら、それがたずえあなたにずっお真実でも、盞手がひどく怒っお䌚話がぷっ぀り切れるこずは必至です。

たた読曞は矩務ではないし、普通の本を栌匏の高いものだずは思いたせん。もっず日垞的で自然なアクティビティです。自分にずっお必芁な蚀論・情報にはい぀でも手を䌞ばし、賢くなる。これだけで十分です。

出版、蚀論、自由に぀いお、䞀から考えよう

ここたでタレント本の問題点を明らかにするずずもに、出版業界ず私たちがそれぞれどう考え行動すればいいかに぀いお曞きたしたが、いかがだったでしょうか。

この瀟䌚は、タレントずそのファンだけでできおいるわけではありたせん。瀟䌚がタレントファンの喜びだけでうたく回るこずはありたせん。

れロの地点に立っお、䞀から考える。そのこずが今、ずおも倧事になっおいたす。

タレント本ぞの危ない感想遞―螊らされる民衆になりたい人はいない

ここからは実甚的に、より私たち読者の芖点からタレント本の泚意点をあげおいこうず思いたす。もしもこんなこずを蚀っおいる人がそばにいたら、あるいはあなたがこんなこずを思っおしたったら「ちょっず埅っお」ず泚意すべき感想を぀の類型に敎理したした。

「○○タレント名が本を出したら、すぐベストセラヌになったんだっお。倚才な人だなぁ」

事実は、「知名床があればそれだけで売れる」ずいうこずです。

これは、政治家ずしお玠人のはずのタレントが遞挙で圓遞するのず同じ原理です。「○○が遞挙に立候補したら圓遞した。○○には高い政治的胜力があるんだ」ず蚀ったら、論ずしおおかしいですよね。このように、知名床が匕き起こした結果は、才胜・胜力ずは関係がありたせん。

ベストセラヌになったこずは才胜の蚌明にはならないこずを、的確に指摘したしょう。

「○○に絶賛コメントを寄せた人、暩嚁ある評論家なんだっお。そういうえらい人からも泚目されおいるんだ」

䞖の䞭には、いわゆる「倧人の事情」ずいうものがありたす。芞胜人ならなおのこず。評論家あるいは䜜家なり孊者なりの偎が「これぞ」ず思ったからコメントを寄せたずか、あるいは察談を申し蟌んだずいう可胜性は非垞に䜎いので、そういうシヌンを思い浮かべおいる人がいたらストップをかけおあげたしょう。

有識者の倧郚分は、近幎のタレント本の跋扈に危機感を募らせおいお批刀的です。なんならタレントを高く評䟡した評論家がどういう人物なのか、玠性たで調べおみるずいいでしょう。

「○○が文孊賞をずったんだっお。○○には本圓に才胜があるんだ」

くり返したすが、䞖の䞭には「倧人の事情」ずいうものがありたす。裏を疑わないピュアな発想かもしれたせんが、それは胜倩気だずか、だたされやすいこずずほが同矩です。賞を運営する偎にも郜合があるのは、出版業界では誰もが知る垞識です。

芞胜人の遞挙立候補が倱笑される今日でも、新たなタレント議員は生たれおいたす。それを思えば、芞胜人が文孊賞を受賞するこずはこれからもあるかもしれたせん。

ですが、なにも賞ずいう暩嚁に賛同する必芁はありたせん。タレント○○の本が自分に必芁かどうか、すごいかどうかは、自分の頭で刀断を。

「○○の本を読んでみたら、意倖ずおもしろかったよ」

これは少しトリッキヌなんですけど、こういう感想は「そのタレント著者を知っおはいたけれど期埅床は䜎かった」ずいう堎合によく聞かれたす。

タレント本ぱンタメビゞネスなので、ある皋床人を楜したせるよう䜜られおいるのは圓然です。おもしろかった分にはかたわないですが、勘違いしお䞊で述べたような「○○はすごい」ずいう発想に぀ながるず危ないです。ビゞネスの郜合にたんたず巻き蟌たれたす。

人には、最初の期埅床が䜎い堎合、その䜎い期埅を越えたずきの奜感床は高くなるずいう心理がありたす。「タレントのやるこずだからどうせダラセだ」などず䜎く芋積もっおいた人が「本人の意志が感じられるずころもあった」ずなるず、実際以䞊に良かったような印象が残るもの。この心理にはたるのは、ほどほどに。

そもそもなぜ疑念の声が䞊がるのか

以䞊、タレント本に぀いお陥るず危ない発想を぀あげたした。

ではなぜ私たちは、芞胜人が䞀般文芞曞を出すず、ニセモノくさい、ダラセっぜい、裏がありそうなどず思っおしたうのでしょうか。

出版ビゞネス偎の事情や倧衆瀟䌚の危うさに぀いおはすでに論じたした。行き過ぎた商業䞻矩が私たちの自由を奪っおいくこずを指摘し、倧局を芋るよう提蚀しおいたす。以䞋では、タレント芞胜人ずいう職業の特殊性を確認しながらタレント本の本質を明らかにし぀぀、そんなタレント本ず私たちはどう付き合っおいけばいいかを考えたす。

タレントずはファンタゞヌである

もずもず芞胜界は裏がある、特殊な䞖界です。芋た目は華やかでも、実情が党然異なるこずで昔から有名です。犯眪組織ずの癒着が明るみに出るこずもしばしばです。

そういった薄暗さ、疑わしさのもずは、タレントずは「圌・圌女の存圚自䜓」を「売り物」「芋䞖物」にする唯䞀の職業だずいうずころにありたす。たずえば私の専門は法埋孊ですが、叞法の堎でも、芞胜人だずプラむバシヌはあたり認められたせん。私生掻でのすったもんだで䞖に話題を振りたくこずすら仕事のうち、ずみられるくらいです。タレントずは、この䞖でいちばん非人間的な職業だずもいえるでしょう。

私の経隓だず、みながそれに気づいおおおっぎらに話すようになるのは、だいたい䞭孊くらいの時ではないでしょうか。

タレントファンは「倧人な察応」で楜しんでいる

私は小さいころからタレントにうずいほうで、あたり興味もありたせん。しかしクラスの友達には必ず、アむドル歌手や俳優・女優に熱を䞊げおいる人が䜕人かいたものでした。

ずころが、「○○ず結婚するのは私」ずたで蚀っおいる子も、その○○がレコヌド倧賞をずった時には「裏には䜕があるんだろうねヌ」などず平気で話したりする。あるいは時ずずもにあきたずか、ブヌムが去ったらすっかり忘れおしたったなどずいう人もずいぶん芋おきたした。

そもそもタレントは、真剣に取り合うほどのものではないんですよね。そういう友達は、裏事情があるこずや自分ず盎接関係ないこずを分かったうえで、キャヌキャヌ蚀っお楜しんでいたした。タレントに入れあげお黄色い声を䞊げる人を「ミヌハヌ」ずいうけれど、こうした面はずおも「倧人な察応」です。タレントは、あくたでファンタゞヌずしお芋お楜しむものです。

ニセモノっぜいも䜕も  

このように芞胜人に関するこずは、「うそかも」ず疑うたでもなく、䜜られたファンタゞヌです。普段から話題づくりが仕事なのだから、䞀般文芞曞を出したずいう堎面であれ、人々が「きっず話題づくりだろう」ず勘繰るのは自然な反応です。

タレント偎の事情ず心理

タレントが䞀般文芞曞を出したずきの瀟䌚の反応は、おおよそ以䞊の通りです。䞖の話題にはのがりたすが、真剣な受け止め方はされたせん。のせられやすい人が通りがかりの本屋でレゞに持っおいこうずも、総じおワむドショヌネタの賞味期限は䞀週間あるかどうか。星の数ほどのゎシップをぱく぀いおは忘れるタむプの人は、タレントの䞀般文芞曞も1か月芚えおいたなら長持ちだったずいえるでしょう。

では、タレントの偎はなぜ、政治や䞀般文芞などほかの分野に足を螏み入れようずするのでしょうか。

人から尊敬されたがるタレントの事情ず心理

ひず぀には、タレントはかねおから尊敬される肩曞きや暩嚁にあこがれがちだずいうこずがあげられたす。

その理由は、自分自身を売り物にするずいう性質䞊、時には人からそこらの䞭孊生からも芋䞋されるためだずいわれおいたす。

もっずも「私生掻でのすったもんだすら人を楜したせる話題にするずか、そういうこずたで含めた『スタヌ』に自分はなりたいんだ」ずいう心構えのタレントもいるわけで、これなら筋が通っおいるず思いたす。しかしタレント党員がそうではありたせん。「どうせ勉匷しおいない」ずか「叀くをたどれば人身売買だ」「厠乞食」などずささやかれたずき、それを気にしお悔しい、芋返したいずいう思いを募らせる。圌らが議員等になりたがる発端もこれだずいいたす。「タレント本」は、「タレント議員」の亜流で新手ずいっおいいかもしれたせん。

個人的には、そんな卑䞋しおあれもこれもず蚀わずずも、タレントになった自分やその掻動に誇りを持おばいいのにず思うのですが、どうなんでしょう。誰しも人生で手に入るものは限られおいるじゃないですか。人を楜したせるのは、誰でもすぐできるほどかんたんなこずではないはずです。スタヌぞの階段を䞊るのにだっお、倧倉な努力があったはず。それに第䞀、自分がやたしいこずをしおいないなら堂々ずしおいればいいじゃないですか。笑う人など攟っおおいお、目の前のファンを倧事にしおはどうかず思うんですがね。

芋䞖物でない本圓の自分

ほか、売り物・芋䞖物になっおいく自分ぞの疑問や葛藀から、人間ずしおの本圓の自分を蚌明したくなるずいう心理もあるようです。

しかし、ひずたびタレントずしお名を売った以䞊、「本物」だず思っおほしいずいうのは実珟しようのない望みのはず。人々が商業䞊の目的によるダラセを疑うのは、芞胜プロダクションのせいでも出版瀟のせいでもなく、自分自身を売っお話題を振りたくずいう職業性の必然的垰結です。遞挙で圓遞しおも䞖の芋方は「タレント議員」止たりだし、小説を出しおも䜜者の名がタレント名である以䞊、䜜品そのものを芋おほしいずいうのは無理な泚文。事実関係や本人の䞻芳的意図がどうあれ、タレントずはそういうものです。だから私たちが同情する必芁はありたせん。

䞀般人ずタレントは根本的に違う

以䞊のように、タレントは、存圚の定矩ずいうスタヌト地点から䞀般人ず異なっおいたす。私生掻や事故、病気のこずですら次の瞬間「䞖に振りたく話題」ずなるのが芞胜人ずいう仕事。たしおや制䜜物なら、本人の意図がどうであれ即座に「芋䞖物」の「小道具」ずなるため、内容うんぬんの物品ではなくなりたす。

そのため、タレント本は、䞀般人の蚀論ずは決しお盞容れたせん。

たずめタレント本ずの付き合い方

タレントによる著䜜物が゚ンタメの範囲を越える事態が出おきた今日、私たちはタレント本ずの付き合い方を考えなければならなくなりたした。それが本皿の意図するずころです。最埌にこれたで述べおきたこずをふたえお、私からの提蚀をたずめようず思いたす。

たず、タレント本はタレント本にすぎないずいう認識の呚知を。䞊で述べた通り、我々はこれたでずっずタレントの掻動はたるごず芋䞖物だずいう裏事情を承知の䞊で、ファンタゞヌずしお楜しんできたはずです。タレント本に察しおも、同じ「倧人」な態床で接すればいいだけです。

次に、タレント本の行き過ぎや、倧局――぀たり瀟䌚党䜓の動き――には泚芖をおこたらないこず。

そしお最も倧切なのは、䞀人䞀人が冷静になっお、自分の頭で考えるこず。テレビでどんなに話題になろうが文孊賞の行方がどうなろうが、私たちがそれにのっおもおはやす必芁はありたせん。倧事なものは、自分で決めるのです。

タレント本を䞀぀のゞャンルずしお区分けし、それが䞀぀のゞャンルでしかないこずをきちんず意識する。タレントはタレントで掻動しおいおもらい、瀟䌚に必芁な蚀論は䞀般人が別途きちんず展開しおいく。それが私からの提蚀です。

倧衆瀟䌚の荒波は、倚くの人が気づかぬうちに、人間の人間らしさを削っおいたす。結びになりたすが、本皿が、珟代瀟䌚が生む非人間性に察抗する䞀぀の詊みずなっおいれば幞いです。

関連蚘事・リンク

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本皿は、2018幎4月16日公開の前半郚に同23日公開の埌半郚を統合し、再線集したものです。

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