女性ボーカルのアニソン:かっこいい~深い曲まで私が選ぶ16曲+α

ポップミュージックシーンに欠かせないアニメソング、略してアニソン。これまでに多くのメガヒットが生まれ、世界中で愛されてきました。

今回は、女性ボーカルのアニソンから選りすぐりの16曲を、歌詞や音楽からその良さのヒミツを探ったり、思い出話を語ったりしながら傾向別にリストアップしようと思います。

  • 盛り上がる!かっこいいロック系アニソン
  • 心に響く…バラード系アニソン
  • 気分さわやかポジティブアニソン
  • 一目置かれる?個性的で深いアニソン

とテーマ分けし、その下では男性ボーカル曲も3曲ほどピックアップしました。YouTubeに公式動画があれば載せておきますし、カラオケでのアドバイスなども書いてみるので、ぜひ読んで聴いて楽しんでいってください。あなたのお気に入りは出てくるでしょうか?

盛り上がる!かっこいいロック系アニソン

まずはかっこいいアニソン編。オープニング映像が浮かんできて期待が高まる、勇気が出てくる、そんな曲を集めました。順番はおおまかに年代順です。

ゆずれない願い(『魔法騎士レイアース』OP)

作詞:田村直美 作曲:田村直美・石川寛門 歌:田村直美

「ゆずれない願い」は90年代を代表するアニメソングのひとつといえるでしょう。歌詞には登場人物の名前がちりばめられているなど『魔法騎士レイアース』の主題歌として作られた曲なのですが、その年を代表するミリオンセラーの大ヒットとなりました。アニソンがアニメの枠を越えて音楽シーンを席巻するのは今に始まったのではなく、90年代からすでにあったことがわかります。

ドラムのきいたかっこいいロックサウンドが目立つ「ゆずれない願い」。ですが、音楽面での真の魅力は、胸にぐっとくるメロディとコードの流れでしょう。未来をまっすぐ見つめる歌詞と相まって、心にじーんと響いてきます。特に94年のオリジナルレコーディングは、最初のワンフレーズ「止まらない未来を目指して」だけで人を引き込む力があります。カラオケで歌う方は、この出だしを誠実に歌ってみると、メロディの良さがよりよく感じられるのではないでしょうか。

私にとって「ゆずれない願い」は思い出深い一曲です。実は『魔法騎士レイアース』は見ていなかったんですけど(私は小さいころとても怖がりだったので、バトル系はもちろんほとんどのアニメを見られなかった)、中学のころ、給食の時間に放送委員がたまたまこの曲を流したのを聞いて深く感動したんですよ。それで友達に「これいいなぁ!」と話していたら、後日その友達がCDをプレゼントしてくれたんです。世界にたった一つのそのCDは、今でも大事な宝物。私の人生で「大事な歌」といったら「ゆずれない願い」になると思います。だから今回の特集でも一番に紹介することにしました。

Give a reason(『スレイヤーズNEXT』OP)

作詞:有森聡美 作曲:佐藤英敏 歌:林原めぐみ

夢に挑む気概、立ち上がる勇気。アニメのオープニングらしい魅力がつまった楽曲です。

「Give a reason」からもらえる前向きな気持ちには、他のどんな曲とも違う特別さがあるように思います。そのヒミツは、「もがくように 抜け出すように」→「この力を 試してみたくて」とか、「傷つく事は恐くない」→「だけどけして強くない」→「ただ、何もしないままで/悔んだりはしたくない」というように、いろいろな気持ちが一段一段ステップを踏んで展開していくからなんだろうな、というのが私の結論です。背伸びして強がっているのではなく、あくまで等身大の人の歌なんですよね。みなさんはどんなふうに感じるでしょうか?

私は中学のころ、友達に連れて行ってもらって初めてカラオケに挑戦したのですが(それ以来カラオケが趣味になった)、「Give a reason」はその折に友達が歌っていたのを聞いて知りました。乾いた現実を前に何かを成し遂げたいという崇高さや、ちょっと不敵な感じがスパイスとなってかっこいいなと思います。

残酷な天使のテーゼ(『新世紀エヴァンゲリオン』OP)

作詞:及川眠子 作曲:佐藤英敏 歌:高橋洋子

『エヴァンゲリオン』を見たことなくても主題歌だけは歌える――それくらい有名なアニソンで、最近では世界中の人が「歌ってみた」動画を投稿しています。「残酷な天使のテーゼ」はヒットというレベルを超越した、アニメソングの金字塔ではないでしょうか。

音楽的には、マイナー調でダークな魅力がありつつ、バックのオルガンとコーラスには「残酷な天使のテーゼ」にしかない雰囲気があります。あまり気張らず雰囲気とサウンドにのってしまえば、いかにもそれっぽく、かっこよく決まると思います。

私の思い出はこれまた初めてのカラオケでのことなんですけど、友達が「残酷な天使のテーゼ」を歌っている最中、私はトイレか何かで席を外していたんですよ。それでルームに戻ったらちょうど曲がラストにさしかかっていたらしく、私がドアをバッと開けた瞬間、「神話になれ」で視線が私に集中。「神話になったよ!」とみんなで爆笑したのでした。

ちょっと気になったので、私は「『エヴァンゲリオン』っておもしろいの?」と話題を振ってみました。すると、アニメに通じた友達は一言、「向かないと思うよ?」――即答でした。私のことをよく理解している友達がそう言うんだからそうなんだろう。私はすっかり納得し、だから『エヴァ』は今なおノータッチ。ですが「残酷な天使のテーゼ」は全部歌えるようになりました。その音源をかければ、初めてのカラオケルームのにぎやかで楽しい思い出が昨日のことのようによみがえってきます。

バトルフロンティア(『ポケットモンスター アドバンスジェネレーション』OP)

作詞:Rie 作曲:Rie 歌:高屋亜希那

ホットなロックでボルテージ爆上がり! 「ウーイエ!!」と叫んでガンガン・ドンドン進むのが気持ちいい、カラオケを盛り上げたい方におすすめな一曲です。

「バトルフロンティア」はテレビアニメシリーズだけでなく、歴代ポケモン映画で人気の高い『波動の勇者ルカリオ』のオープニングとしても使われています。主題歌に合わせて描かれるポケモンバトルは胸が焦げるほどテンション上がりますので、気になった方は要チェック。『波動の勇者』では「バトルフロンティア」のロックテイストが作品全体を通じて少しずつ、形を変えて使用されており、音楽が様々な表情をみせてくれるところがまた興味深いです。

Together(『ポケットモンスター ダイヤモンド&パール』OP)

作詞:D&Pプロジェクト 作曲:Rie 歌:あきよしふみえ

「イエイ・イエイ・イエイ・イエ!!」で無条件に盛り上がるアップテンポナンバー。前、前、後ろ、後ろ、と思わずステップを踏みたくなるノリのよさが魅力的で、実際に歌ってみると、聴いている時以上に疾走感があって爽快です。みんないっしょに合いの手を打てる箇所も多いので、これまたカラオケを盛り上げたい人にうってつけです。

アニソンの世界では、歌詞をアニメに合わせて専用の曲を作るか、それとも関係ない一般の楽曲をタイアップするか、どちらがいいのかは議論のテーマです。その点、「Together」はバリバリの前者。アニメ内の用語がふんだんに盛り込まれているのです。たとえばサビの「アクアジェット」や「きりばらい」はポケモンの技名ですし、「テンガン山」は作中に出てくる場所、「時空」はシンオウ地方のキーワードですね。

「Together」の良さは、そういったアニメ内用語が歌詞の中で自然になじんでいるところだと思います。「モヤモヤ気分 きりばらいして/ロッククライム ほら乗り越えたら」などと一般的な表現として成り立っており、しかも生きている実感と躍動感にあふれたいい歌詞になっている。作詞は「D&Pプロジェクト」ということで、つまり本作のためだけに作られた楽曲ですが、その方向でうまくいった例ではないでしょうか。

紅蓮華(『鬼滅の刃』OP)

作詞:LiSA 作曲:草野華余子 歌:LiSA

『鬼滅の刃』の主題歌である「紅蓮華」は、アニメの枠にとどまらず2019年の音楽シーンを席巻しました。年と時代を象徴すると言っても過言でなく、末永くアニソンの代表曲として歌われていくだろうなと思います。

「紅蓮華」はサビで「世界に打ちのめされて負ける意味を知った」とある通り、根底に敗北があるアニソンです。しかもそれは、一発ですべてを失って、もう二度と取り返しのつかない敗北……。『鬼滅の刃』といえばTwitterで「流行るものはやっぱり面白いんだよね」なんて話している人を見かけたのですが、私は「紅蓮華」もそうだよなと思っています。「夜の匂いに空睨んでも/変わっていけるのは自分自身だけ」「逸材の花より 挑み続け咲いた一輪が美しい」「簡単に片付けられた 守れなかった夢も/紅蓮の心臓に根を生やし この血に宿ってる」など、敗北から立ち上がる姿はリアルで、筆に実感が伴っており、説得力があります。

さて、カラオケのアドバイスですが、まずAメロは早口です。もし気軽に歌って楽しみたいなら、あまり力を入れず、たとえ舌がもつれてもガン無視してノリでノリきるほうがかっこよく決まるのでおすすめです。一方、もっと本格的に「紅蓮華」をモノにしたい方は、この部分をリズム打ちしてきちんと理解すること、そして実際に舌がまわるか練習しておくといいでしょう。音程やリズムと滑舌は少し別な技能ですからね。

サビのメロディでポイントになるのは、「消せない夢も」の「な」の音。この音が所定の高さまで上がりきるとグッとかっこよくなります。なので、歌が始まる前から「せ」から「な」の音にジャンプする心づもりでいることをおすすめします。あとは高音なのですが、こちらについては後述します。

心に響く…バラード系アニソン

以上、私が選ぶかっこいいアニメソングを全6曲紹介しましたがいかがだったでしょうか?

かっこよさはアニメソングの大きな魅力ですが、ロックサウンドで夢と勇気を叫ぶだけがその世界ではありません。次は、心に響くバラード編をお送りしようと思います。

風といっしょに(『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』ED)

外部リンク:風といっしょに(歌ネット)

作詞:戸田昭吾 作曲:たなかひろかず 歌:小林幸子

一歩一歩広い世界へ踏み出していく、ポケモンの世界を体現した一曲。ミュウツーファンの間では永遠の名曲に列している人も多いらしいですね。

音楽的には、サビ直前までファとシを抜かす演歌の「ヨナ抜き音階」になっているところが特徴的。また、私は個人的にラストのサビ「大地ふみしめ どこまでも ゆこう」のバックのストリングスのからみ方は言葉で言い表せないくらい好きです。ストリングスのパートだけ何度も何度も耳をそばだてたりしました。

生きることを歌う深い歌詞はもちろん、作曲と編曲の妙も光った楽曲だと思います。

陽のあたる場所(『仙界伝封神演義 封神百科』ED)

作詞:米倉千尋 作曲:米倉千尋 歌:米倉千尋

この曲は『封神演義』ファンの友達から教えてもらって知りました。

7分近い壮大なバラード。ですがあまり重くはなく、実際歌ってみると意外にバンド的なサウンドなので驚かされます。編曲は映画音楽などを手掛ける作曲家に依頼したそうで、やはりよくできた作品には「こんなふうにしたい」という意図が一本通っているものだなぁと思います。

誰もが知る金字塔ではないかもしれませんが、私の歌好き歴〇〇年の中で「陽のあたる場所」は重要な一曲です。

カラオケにハマると、誰もが次には「うまくなるには?」と考え始めるもの。私もご多分に漏れず、精密採点の結果を凝視したり、ボイトレ本をあさったりしたカラオケ大好き人間です。私がここで面白いと思ったのは、歌の世界に踏み出すと、向き合うことになるのは他でもない「自分の個性」だということでした。内容やサウンドが好きか、歌いたいと思えるかは当然の前提ですけど、自分の声質や声域、心や人柄に合うかどうかは、進めば進むほど大事になってくる(ちなみに私の声はロックにはまるで不向き。だから上記ロック系アニソンを歌ってもあまりかっこよくはなりません……)。また、ボイトレでは「完コピ」がすごく効果的だと言われますが、では自分はどの音楽ジャンルの誰のどの曲を題材に選ぶのか。たとえ世界の歌姫でも、自分にそうなりたいという希望がないなら良いお手本にはなりません。言い換えれば、自分にとっての理想の歌い方を見定めていかなければならないのです。

しかもカラオケだけでは飽き足らず、私はその後、自分で作詞作曲に踏み出します。そうなれば「自分はどういう音楽をやりたいのか」は永遠の問いになる。音楽の楽しさの一つは、自分探しなんだと思います。

こうやって自分に合う歌を探し続けて、私は「音楽として」一番好きな既存の楽曲は「陽のあたる場所」なのではないかと思うようになりました。自分はこんな音楽を書いて、こんな歌唱をしたい、そのモデルとして大事に聞いています。

小さきもの(『劇場版ポケットモンスター 七夜の願い星 ジラーチ』ED)

外部リンク:小さきもの(歌ネット)

作詞:三浦徳子 作曲:山移高寛 歌:林明日香

ポケモン映画の壮大なエンディングテーマ。世界自然遺産・武陵源をモデルとした大自然の絶景と星空を背景に、深い歌声が響きます。歌詞の「ふわり舞い上がれ」のところで綿毛が空に舞い上がる映像は私のイチオシ。ポケモン映画ファンの間でも人気な一曲です。

歌では自分に合うかどうかが大事になってくると言いましたが、それは自問自答だけで見つけるものではありません。周りの人の意見はとても参考になります。「小さきもの」は私が友達から「合ってるね」と言われた曲。それもあって、私は長年持ち歌として歌い続けています。

そこに空があるから(『ポケットモンスター アドバンスジェネレーション』ED)

作詞:渡辺なつみ 作曲:三留一純 歌:江崎とし子

ポケモンアニメシリーズのエンディングテーマ。三拍子にアジアンな曲調が個性的で、胸にじーんと沁みわたってきます。

壮大すぎず、高音も出てこないけれど、心ゆさぶる感動的な楽曲。なので「自分にも十八番があればいいのに……」と悩んでいる人にはこの曲は秘宝かも、と思っています。ものは試し。動画といっしょに口ずさんでみてはいかがでしょうか?

「そこに空があるから」は、進め進めだけがアニソンではないのだと教えてくれる一曲です。人は、いつもフルスロットルで夢へと駆けていけるわけではありません。頑張るばかりで疲れる時だってある。傷つくことも、迷うことも……。この歌は、流す涙が奇麗です。青空はうるわしく、生命はみずみずしい。浄化のエンディングというのも、一日の終わりに似つかわしいかもしれません。

気分さわやかポジティブアニソン

アニメソングではロック系と並んで壮大なバラードも花形ですが、もっと軽いタッチのいい曲ってありますよね?

そこで次のテーマはさわやかなアニソン。3曲選びました。

となりのトトロ(『となりのトトロ』主題歌)

外部リンク:となりのトトロ(歌ネット)

作詞:宮崎駿 作曲:久石譲 歌:井上あずみ

スタジオジブリの代表作、みんなおなじみトトロです。夢いっぱいの世界観が、のびやかなメロディにのって描かれます。

「となりのトトロ」は声域が女性ボーカルにとってほどよいので、音程感覚をつかむのにぴったりだと思います。おなじみ「となりのトトロ トトロ トトロ トトロ」の部分は「ドレミファソミド ソファレ ファレシ ファミド」の距離感。むずかしすぎず、速すぎず、音程の行き来がほどよいです。曲中の最高音は、最後のサビ繰り返し出てくる高いレ#。そこまで無理なく、のどを痛める心配も少ないです。私は、カラオケの一曲目はトトロと決めています。さわやかさと愉快さのほどよいバランスもそうですが、何より声のウォーミングアップにちょうどいいからです。

YUME日和(『ドラえもん のび太とワンニャン時空伝』挿入歌・ED)

作詞:小幡英之 作曲:宮崎歩 歌:島谷ひとみ

「YUME日和」は、歴代ドラえもん映画のなかでも感動作として名高い「ワンニャン時空伝」のエンディングを晴れやかに飾っています。作中でも、人気歌手のシャミーちゃんがステージで歌う劇中歌として登場します。

「ワンニャン時空伝」はドラえもん映画25周年を記念すると同時に、それを区切りに声優および制作メンバーが世代交代するという大きな節目でした。明日がまた幸せでありますように、と願いを空に届けるようなエンディングは、ドラえもんの未来へ希望を引き継ぐかのようでした。私は同作を劇場で観たのですが、映画館を出る時の晴れやかさはとても印象に残っています。

悲しみをやさしさに(『NARUTO-ナルト-』OP)

外部リンク:悲しみをやさしさに(歌ネット)

作詞:tetsuhiko 作曲:tetsuhiko・Tomoji Sogawa 歌:little by little

描く方向性が内面的だといわれる『ナルト』のオープニングテーマ。まだ泣いてばかりで歩き出せていない、そんな心にそっと寄り添うかのようなやさしいメロディラインが素敵です。聴いたり歌ったりしていると、では自分にとって「大事なもの」は何なんだろう……などと考えさせられたりもします。

メロディは全体的に高めですが、極端さはないので、あらかじめよく聞いておけば歌いやすいと思います。ただ転調、特にラスト前の「涙の後はなぜか吹っ切れてた」からの部分はことのほか難しいため、もしかしたら途中で音を見失い「あれっ?」と迷うことがあるかもしれません。なので持ち歌として大事に歌いたい方は、最初から最後までキーボードで音をとってみることをおすすめします。

「悲しみをやさしさに」は、友達が「『ナルト』はいい曲ぞろいですごいんだよ」と貸してくれたベストアルバムで初めて聴いて知りました。心の琴線にふれて、「なんていい歌なんだろう」とため息が出たのを覚えています。当時はCDレビュー等でも「『ナルト』のアルバムはヒット曲集のようだ」などと言われていて、今思えばアニソンが一般の音楽シーンで大きな影響力を持つようになった一つのきっかけだったように思います。

一目置かれる?個性的で深いアニソン

以上、ここまでは、かっこいいロック系、壮大なバラード系、気分のいいさわやか系と3つの傾向に分けて紹介してきました。

が、アニメソングの世界にはそのどれでもないけれど、強烈な印象を心に刻む個性的な歌もあります。

ここから3曲は、私が衝撃を受けたり、いろいろ考えさせられた変化球的アニソンです。あなたは何を感じ、どう考えるのでしょうか……?

近道したい(『ぼのぼの』ED)

作詞:須賀響子 作曲:山川恵津子 歌:須賀響子

「のんびり過ごしたい」とアコギサウンドに気楽なタッチで歌いながら、中身は衝撃的でさえある――『ぼのぼの』エンディングテーマ「近道したい」は、アニソンとしてある意味伝説の一曲だと思っています。

アニメソングの大部分は、夢に向かう強い意志やあきらめたくない気持ちを歌っています。性質上そうなるんですよね。もっともシチュエーションによっては敗北や悲しみ、絶望、後悔や迷いなどの心情もこまごまと織り込まれていて、それもアニソンの魅力だと思っているのですが、いずれにせよ自分の意志で前に進んでいくことは当然の前提になっています。

だけど「近道したい」で歌われるのはその逆です。苦労はしたくないな、幸運が降ってきて幸せになれたらいいよね、と……。そして、それはなにも深刻にアンチテーゼを訴えているのではなく、飾らないありのままの気持ちをふんわり吐露したようなタッチ。そんなふうに鼻歌まじりでつぶやいていった先は、2番サビ「考え過ぎずに気楽に歩きましょう」、ラストは「いろんな行き方探して歩きましょう」で結ばれる。落としどころにも思わずうなります。

物事には別の見方がある。自分とは違う考え方がある。心に浮かんでくる気持ちに対して「だめ」と決めつければ、見落としてしまうものがある。「近道したい」は「常識」とは別の見方、考え方を示してくれる、世にも貴重なアニメソングではないでしょうか。

前向きロケット団!(『ポケットモンスター』ED)

作詞:戸田昭吾 作曲:たなかひろかず 歌:ロケット団(ムサシ・コジロウ・ニャース)

世界の人気悪役、ムサシとコジロウによる爆笑のギャグ・デュエット! ニャースとソーナンスも参加して歌を盛り上げます。最初から最後まで彼ららしさ全開の「前向きロケット団!」は、ポケモンから生まれたアニソンの隠れた名曲ではないでしょうか。

底ぬけの明るさには度肝をぬかれます。ちゃんと反省会はするんだけども、「くよくよタイムなんて5秒でじゅうぶん」、今日の負けも「そんなことより」と一蹴できちゃう前向きさにはもはや脱帽。趣旨的にはギャグなんですけど、歌詞をよくよく追っていけば、いい言葉がたくさん詰まっていることに気付きます。そして2番は楽屋ネタ全開! ロケット団の愛されキャラぶりを堪能できます。

心の琴線にふれる感動の名曲とは全く違う意味で、私はこれもまた「いい曲」なんだと思っています。毎週毎週「やな感じー!」でキラーンとふっとばされてるのに、それでも全然あきらめない。全然暗くない。また次の週には「ニャースの妄想」という名の希望がむくむく生まれてくる。それってすごいことじゃないですか。

遙かな贈りもの(『デジモンフロンティア』挿入歌)

外部リンク:遙かな贈りもの(歌ネット)

作詞:大森祥子 作曲:千綿偉功 歌:和田光司&AiM

大人になってから音楽への興味でデジモンのベストアルバムをあさっていた時に衝撃を受けたデュエットです。おそるべし、アニメソングはここまで言えるのか、と。

2番の冒頭「壊れかけた星」と言いたくなるくらい、現実は退廃している。そんな世界に思うことはあれど、じゃあ何ができるんだと問うたら自分だってその中でもがいてる一人で、自分のことすら守れるかどうかわからない有様。だけど、しかたないんだ、こんなもんなんだとあきらめきれるかといったら何故かためらってしまう……。人間にはそういう部分があるよなと思います。

遙か未来にみんなで笑っている、そんな漠然とした願いと照らし合わせて矛盾が出るようなことはやっぱり「間違い」で、その素朴に素敵な未来に通じそうな道を選べばきっと間違いない――私はそんなふうに解釈しています。

男性ボーカルの曲は歌えない?~キー変更のすすめ

私が初めてカラオケに連れて行ってもらった時のこと。BUMP OF CHICKENのファンだった幼なじみの友達は、リモコンを慣れた手つきで操作して、彼女の番に『天体観測』を予約しました。ところがいざ伴奏が始まると、低い声を無理に出そうとして、歌いにくそう、苦しそうにしていた……そんな光景を今でもよく覚えています。

彼女と同じように、かっこいいから歌いたいアニソンがあるんだけど、男性ボーカルだから低すぎる、あるいはうわずって出なかったりしたのであきらめた……という女性はいないでしょうか?

待って、あきらめないで! 男性ボーカルの曲でも、カラオケのリモコンの「#」「♭」ボタンでキーを変更すれば必ず歌えるようになります。即座に、です。自分の声の高さは変えられませんが、だったら伴奏の高さを変えてしまえばいいのです。

ここでは、キーをどう上げ下げすれば歌えるか、有名なアニソン3曲で実際に試してみます。女性といっても声域や歌いやすさにはかなり個人差があるのですが、だいたいの参考にはなると思います。自分に合ったキーが見つかったら覚えておけば、次回からはもうバッチリですね!

Butter-fly(『デジモンアドベンチャー』OP)の場合

作詞:千綿偉功 作曲:千綿偉功 歌:和田光司

不動の人気アニソン「Butter-fly」は、私の場合、原曲より#4にするといちばんのびのび歌えます。#3でもいいかな?

女性で「『Butter-fly』歌いたいけど男性ボーカルだから声が出ない……」と悩んでいる方は、予約の段階でとりあえず#2か#3に設定してみるのをおすすめします。それで歌えるようになったなら、もう1つか2つ上げてみて、より歌いやすくなるかどうかを試してみるといいでしょう。

GO!!!(『NARUTO-ナルト-』OP)の場合

外部リンク:GO!!!(歌ネット)

作詞:KOUHSHI 作曲:TAKE 歌:FLOW

「気持ちいい!!」と末永く人気曲にランクインする「GO!!!」は、私の場合#5でちょうどです。かなり上げますね。

大胆なようですが、こうやってキーを自分に合わせることがカラオケをのびのび楽しむ極意です。

「GO!!!」の場合、かっこよく決めるカギはラップパート。迷って勢いを落とさないように、あらかじめ歌詞を頭に入れておくといいでしょう。

ウィーアー!(『ONE PIECE』OP)の場合

作詞:藤林聖子 作曲:田中公平 歌:きただにひろし

『ワンピース』の海へと冒険にいざなう初代オープニングテーマ「ウィーアー!」。アニソン界の伝説的な一曲ではないでしょうか。

私の場合、歌いやすいといえば#2~3くらいですが、原曲キーでも十分歌えます。メロディは親しみやすく、覚えやすく、ブラスバンドのキメや返しも小気味いいですね。しかも実はテンポはかなり速いのですが、歌っていると全然そうは感じません。こうして万人に歌いやすく作ってあるのが、多くの人に愛されるヒミツだと思います。

作曲と並んで、歌詞にもなかなか妙があると思います。『ワンピース』には名曲が多いですが、いまでも最高だと名高いのはこの初代。他のOPとどこが違うのか……というと、『ウィーアー』の歌詞には一つ大きな特徴が見つかります。それは、特定のシーンを直接描いていない、ということ。たとえばルフィは「バイオリズム」なんていう言葉は使わないし、ピンチに自分をアピールする「自意識過剰」なキャラが作中に出てくるわけでもない。けれど『ワンピース』の世界観は余すところなく描かれています。特定の場面を直接描かないからこそ、聴いた人が世界の中に入り込める。自分がその世界に入り込んだかのように感じられる。その点が特別だと思います。

作曲と作詞がそろってこそ、いつ聞いても新しい名曲が生まれるのではないでしょうか。

上げてだめなら下げてみる

上で紹介したのは、両方とも「キーを上げれば歌える」という話でした。でもなかには反対に、キーを下げてしっくりくる楽曲もあります。

たとえばアニメソングではありませんが、先ほどの『天体観測』は、私の場合♭3でちょうどです。(嗚呼、あの時バンプファンの友達に教えてあげられたらよかったのに……。)

こればかりは楽曲次第、そして歌う女性の声域次第です。上げてだめなら下げてみる。どこかには必ず自分に合うキーがあるので、上げたり下げたりいろいろ試して見つけるといいでしょう。

女性ボーカル曲でもキーを変更するのはどんな場合?

以上のように、女性が男性ボーカルの曲を歌う極意はキー変更にあります。オケのほうを自分に合わせれば、男性シンガーの歌でもちゃーんと歌えるのです。

では、女性が女性ボーカルの曲を歌う場合にはキー変更は無用なのか? ……といえば、そうではありません。場合によってはとても有効で、カラオケを快適に、安全にしてくれます。

出ない高音は無理しないのが上手の秘訣!

キー変更する理由といえば、まず高音です。

「紅蓮華」の場合

たとえば上記で挙げた中だと、「紅蓮華」の最高音は「紅蓮の華よ」の「な」で、高さはG5、つまり高いソに達します。

……高いファなら合唱曲のソプラノパートでも見たことがあるのですが、高いソとなったらボイトレを積んでいなければまず出ません。もっとも、音域の得意不得意にはかなりの個人差があります。必ずしも高さと難易度が比例するとも限りません(たとえば私の場合、最も音程の行き来がしにくいのは高いレあたりで、それを越えたほうが出しやすかったりする)。しかしたとえ「出せるよ!」という人でも、この高さをウォーミングアップなしにいきなり歌うのは危険です。キーを♭2くらいまで下げるのは賢い選択だと思います。

しかも、歌の決め手は最高音だけではありません。「紅蓮の華よ」の「な」ばかりに気をとられて、半音下りる「よ」がテキトーになってはいませんか?

声は、コントロールがきいていなければ映えはしません。あこがれの女性シンガーをまねして原曲キーに執着するより、無理のないキーでしっかり歌ったほうが周りにはずっと上手に聞こえます。(ただ「紅蓮華」に限って言うなら、キーを3つも4つも下げると今度は低音、「走馬灯に酔う」の「う」が出なくなるという問題が……。この点、もしあなたが気楽にカラオケを楽しみたいだけなのであれば、出ない高音、出ない低音は出そうとしないでムシ! 「あとはみんな脳内補完して!」くらいのノリでいるほうが気持ちよく楽しめると思います。)

女性ボーカルの曲を女性が歌う場合でも、ちょっと歌いにくいなと感じたら、自分に合うキーが見つかるまでいろいろ試してみるといいでしょう。

本当に怖いのどの痛み

カラオケファンの間では、原曲キーで歌えることが勲章だというような風潮がなきにしもあらずです。

しかし、これが間違いのもと。くわしくはボイトレのまとめで書いたのでそちらを参考にしてほしいのですが、

リンク:自宅ボイトレ15年のまとめ:高音、筋トレ、苦手克服、意見の違いを整理整頓!

無理な高音は、のどを壊すリスクと隣り合わせなのです。

カラオケ人気を背景に、最近は、のどをしぼって高音を無理やり出すうちにのどが痛くなり、耳鼻科に行ったら声帯にポリープができていた……というシャレにならないケースが増えているそうです。声帯のポリープはガンではなく、腫れ物やタコのこと。原因はズバリ、声帯のこすれすぎです。声帯が炎症をおこしてガラガラ声になってしまった、ヒリヒリする、という段階にとどまっているなら、約3日ほど声を出さないでいることで鎮静化していきます。が、ポリープまで重症化してしまったら、残る手立ては手術のみ。……真っ青になるでしょうが、手術の書類にはサインするしかありません。

上手に聞こえるし、音楽にくわしい雰囲気をまとえるし、手術も事前に防げる――女性ボーカルの高音で無理をせず、キーを下げるのは一石三鳥です。ぜひこれを考慮して、カラオケを安全に、より楽しんでもらえればと思います。

自分に合ったキーを見つけるのが上手の秘訣

と、ここまでは高音で無理をしないためキーを下げる話をしてきました。

でも実は反対に、女性ボーカル曲でさらにキーを上げるというのもアリなんです。

なぜなら、一口に女性ボーカルといっても、歌手によって声域や声質はいろいろです。渋い声に魅力があり、かなりの低音域を歌うシンガーもけっこういるんですよね。

この記事で紹介した中で言えば、私は「そこに空があるから」ではキーを1つか2つ上げて歌います。そのほうが私にとって歌いやすいし、自分の声に合っているからです。

キーは自分次第、自由です。プロの歌手はみな、それぞれ、自分がいちばん輝けるキーで楽曲を制作しています。「好きこそものの上手なれ」ではないですが、自分がいちばん上手に歌えるのは、ラクに、のびやかに、楽しく歌えた時。「歌は楽しむものだ」ということは、いつでも覚えていたいですね。

結びに―アニメソングの良さとは

以上、私が選ぶ女性ボーカルのアニソン16曲+αはいかがだったでしょうか?

こうして筆を進めていると、その歌を知った時のことが心に鮮明によみがえってきます。歌自体からもらった感動はもちろん、アニメの映像や、映画館の風景、空気感、そして友達と笑った思い出……。大事な歌は様々な思い出によって肉付けされて、心の中にずっと流れ続けるのだと思います。

特にアニソンというジャンルは、夢や希望、そして勇気を届けてくれるところに大きな特徴があります。作品のストーリーと並走するゆえ、歌詞に描かれる喜怒哀楽はどれも豊か。あらためてその深さを感じました。

音楽としてもサウンドは多様です。最近では新しいボカロテイストがまざった曲も耳に入ってくるようになりました。私はポップミュージックのトレンドを追っていく上でもアニメソングは要注目だと考えています。

あなたはどの歌が、どんなふうに好きですか?

(記事公開:2022年5月1日。最終更新:2022年10月21日、男性ボーカル曲に「ウィーアー!」を追加。)

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著者・日夏梢プロフィール||X(旧Twitter)MastodonYouTubeOFUSE

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