Mastodonの始め方と使い方―Threadsに代わる新SNSのすすめ

どこかに、今までのより使いやすくて、安全なSNSはないのか――。「できることなら移動したい」と移行先を模索する人が増えているいま、私がおすすめするプラットフォームは、ズバリMastodon(マストドン)一択です。

今回は、Mastodonの始め方と使い方を、この記事だけで事足りるよう画像とリンク付きで解説します。先日は、イーロン・マスク元CEOのもとでTwitter(現・X)が使いにくくなったのを背景に、MetaのThreads(スレッズ)が世界中で大きな注目を集めました。でも、本当にそれでいいのか。いまこそ私が知る最善の選択を紹介しようと思いますので、ぜひ参考にしてください。

アカウントの始め方

まずはアカウントの開き方です。

下記の通り、Mastodonには一か所だけ新しい概念があります。それが、筆者を含め、多くの人が二の足を踏む原因になってきました。ですが、筆者はいざやってみたらたった2分でアカウント開設完了。たったこれだけのことだったのかと気が抜けました。

以下に沿って進んでいけば間違いなく、すぐにでも使い始められるはずです。

公式サイトにアクセスする

登録は公式サイトでできます。読者の手間を省くため、以下に日本語ページへのリンクを貼っておきます。

外部リンク:公式サイト(日本語版)

Mastodonの公式サイトのスクリーンショット
Mastodon公式サイト(日本語版)

「アカウントを作成」をクリックして進みます。

サーバーを選ぶ

次に、「アカウントを開くサーバーを選ぶ」というステップがあります。

Mastodonというのは、公式サイトのイラストのように、宇宙にたくさんある星がつながっていて、そのうちの一つを自分の拠点にする、というイメージでできているのです。

Mastodonのサーバー選択画面のスクリーンショット
自分が拠点にした星(=サーバー)は他の星とつながっており、フォローなども普通にできるので安心。

この「サーバー」という概念は、TwitterやFacebook、Instagramといった今までのSNSにはありませんでした。なので、たいていの人はここで迷い、ともすればアカウント開設をあきらめたりしがちです。かく言う私も、最初はどのサーバーがいいのだろうといろいろ調べたりしたものでした。

結論を先に言ってしまえば、サーバーはMastodon公式か、代表的な日本語サーバーを選んでおけば間違いありません。

Mastodon公式サーバーのWelcomeイラスト
公式サーバー。自分でサーバーを選ばなければ、アカウントは公式サーバーで作られるのがデフォルトになっている。

それに、サーバーは後から何度でも引っ越しできます。引っ越しは設定画面からデータをエクスポートし、新しいサーバーでインポートするだけなので、難しくありません。

なのであまり迷うことなく、以下3つのどれかでとりあえずアカウントを開いてしまうことをおすすめします。ちなみに私は、日本語サーバー「mastodon-japan.net」でスタートしました。

サーバーを決めたら、「アカウントを作成」をクリックします。

ルールを確認

Mastodonでは、サーバーごとに利用者のルールが設定されています。

たいていのサーバーが設けているのは、差別・ヘイトスピーチや誹謗中傷の禁止です。他、暴力行為の扇動禁止、陰謀説の禁止、性的コンテンツを投稿する場合はセンシティブ指定をする、などの規定もよくあります。ルールといってもごく当たり前のことであり、むずかしいものではありません。

Mastodon-japan.netのルールの画面
サーバー「Mastodon-japan.net」のルール。

選んだサーバーのルールに同意できるなら「ACCEPT」をクリックして次に進みます。

登録する

ここまできたらいよいよ登録です。

Mastodonのセットアップ画面
登録画面。特にめずらしい点はない。

「表示名」は、プロフィールに表示される名前のことです。あとでプロフィール編集から変更できるので、そこまで深刻にならなくて大丈夫です。

一方、二番目の「ユーザー名」は、アドレスの一部として使われます。Twitter(現・X)でいうと「@xxx」「https://twitter.com/xxx」の「xxx」にあたる文字列です。この「ユーザー名」は後から変えることはできません。嫌になった場合は新しいアカウントを作るしかないので、こちらは慎重につけることをおすすめします。

あとはメールアドレスと設定したいパスワードを入力し、プライバシーポリシーに同意したら「登録する」をクリックします。

登録完了!

確認用のメールが送信されますので、メールに載っているリンクを開きます。

これでメールアドレスの確認ができたので、めでたく登録完了! さっそく使い始めることができます。

Mastodonの使い方

Mastodonの使い方は、Twitter(現・X)とほぼ同じと考えて大丈夫です。

投稿(「トゥート」といいます)は500字までOK。画像、動画、音声をアップしたり、アンケートを付けることもできます。

日夏梢のMastodonアカウントのスクリーンショット
筆者のMastodonトップ画面。できることは他のSNSと変わらない。(画面のカラーは「ユーザー設定」→「外観」→「サイトテーマ」でライトにした。)

投稿にリアクションする方法は、左から、返信、ブースト、お気に入りです。パソコンで閲覧している場合はブックマークのボタンも並んでいます。

「ブースト」はTwitterでいう「リツイート」と同じで、他の人の投稿を自分のタイムラインにシェアできます。(「引用リツイート」にあたる機能はありません。)

☆マークの「お気に入り」は「いいね」と同じですが、自分が何に「お気に入り」を押したかは相手以外には公開されません。

「ホーム」には、フォローしている相手の投稿が表示されます。他のSNSのように、広告や、他の人が「いいね」したものなどが出てくることはありません。自分好みにカスタマイズできる感じです。

ほか、ダイレクトメッセージや、ミュート・ブロックの機能もあります。

分散型特有な「リアルタイムフィード」を解説

以上の通り、基本的な使い方はおなじみなものばかりですが、唯一見慣れないとしたら「リアルタイムフィード」を開いた時の「このサーバー」「ほかのサーバー」「すべて」という用語だと思います。これはMastodonなど分散型SNS特有の概念なので、どういう意味でどう違うのかを解説しておきましょう。

まず「このサーバー」は、自分と同じサーバー内の公開投稿が表示されるタイムラインです。バージョン4.2.0にアップデートされる以前は「ローカルタイムライン(LTL)」と呼ばれていました。

一方、「ほかのサーバー」は、同じサーバー内のユーザーがフォローしている別サーバー上のアカウントの公開投稿が表示されるタイムラインです。自分のサーバー内の投稿は表示されません。ここを見れば他のサーバーの様子が分かるでしょう。

「すべて」には、「このサーバー」と「ほかのサーバー」の両方が表示されます。投稿数が多くなるので、タイムラインの流れも速くなります。

TwitterやFacebook、Instagramなどでは、運営会社がフォロワーの多いアカウントの投稿を優先表示するなど、タイムラインを意図的に操作しています。ですが、Mastodonではどのアカウントの投稿も平等に表示されます。

自サーバータイムラインについて知っておくといいこと

「このサーバー」のタイムラインはSNSとしては独特です。なので、アカウントを開いたばかりの時にはどうすればいいか迷うことがあるかもしれません。

そこで、新規のユーザーが入っていきやすいよう、以下では筆者がMastodonを使い始めた感触で最初から知っておくといいと思ったことを挙げていきます。

チャットのような使い方について

自サーバー上の投稿は、サーバー1つ分なので数が少ないです。公式サーバーのような巨大なサーバーでなければ、目で追える程度の比較的ゆっくりしたスピードで流れます。

そのため、「このサーバー」のタイムラインには、サーバー上の知り合いとチャット的に利用している人もいます。例えば誰かが「おはようございます」とあいさつすると、返信ではなく「〇〇さんだ。おはよう!」と投稿する人がいる、という感じです。また、新規ユーザーの投稿が現れると「ご新規さんだ!」「ようこそ」とその時いた人が迎えてくれることもあります。タイムライン上に会話の流れがあるのはかなりユニークな点といえるでしょう。

このように何人かでチャットが続いているのを目の前にすると、「自分がしたい投稿をしたらチャットの邪魔になってしまうのでは?」「Twitterのように”実況”はしにくい?」等迷うことがあるかもしれません。

この点に関しては、チャットをしているユーザーに気を遣いすぎることはない、というのが筆者の結論です。現に、筆者をはじめ、大部分のユーザーは好きな時に好きな投稿をしています。チャットしている人たちがそれを悪く思っているということもありません。むしろ、「会話の流れに割り込むべきでない」という不文律が形成されるようなことがあれば、「空気読め」のような古くギスギスしたコミュニティになりかねません。なので、チャット的に利用する人もいるということは、知識として知っておくだけで十分だと思います。

”実況”をするような場合は、投稿を「未収載」にしてフォロワー同士だけで楽しむ、専用のハッシュタグを付ける、といった手はあります。チャット的な利用者がいない大きなサーバーを選んでもいいでしょう。でも、そうしなければいけないのかと言えば、そんなことはありません。

「どうせ誰も見てないだろう」は通用しない

もし「このサーバー」タイムラインでトラブルになるとしたら、悪口やきわどいコンテンツを投稿した場合です。

すでに説明した通り、Mastodonの公開タイムラインでは、フォロワー数や影響力の大きさにかかわらず、全ユーザーの投稿が平等に表示されます。その分、問題投稿も多くの人の目に付くのです。「どうせ誰も見てないだろう」とタカをくくり、軽い気持ちで「あいつをブロックした」などと言い放ってしまうと、想像以上にサーバーを荒らすことにつながります。

もっとも、誹謗中傷や特定個人への嫌がらせ等は、どのSNSであれ、見ている人が少なければやっていいというものではありません。

とはいえ、Mastodonでは、Twitterのような巨大SNS以上に人々を不安がらせてしまうことはあります。

これもMastodonに限ったことではありませんが、ネット上にアップした文や画像は不特定多数に公開されます。多くの人にとっては心配いらないと思いますが、インターネットは適切な使い方をするよう心がけるよう勧めます。

投稿の公開範囲

投稿の公開範囲は、「公開」「未収載」「フォロワーのみ」の3種類から選べます。

「公開」はその名の通り、誰でも見られる設定です。

「未収載」にした投稿は、自分のフォロワーの「ホーム」にだけ表示されます。ローカルタイムラインと連合タイムラインには載りません。ただし、投稿がフォロワーにブーストされた場合は、フォロワーのフォロワーも見られます。

一方、「フォロワーのみ」にすれば、投稿が表示されるのは自分のフォロワーだけで、ブーストもできないようになります。つまり、投稿がフォロワー以外に見られることはありません。

「鍵アカウント」にする方法

「プロフィールを編集」の中の「承認制アカウントにする」にチェックを入れて保存します。これで、自分が承認した相手のみをフォロワーにすることができます。

いわゆる「鍵アカウント」と同じようにフォロワー同士だけでやりとりしたい場合は、投稿の公開範囲を「フォロワーのみ」にするのも忘れずに。

補足説明:「分散型」とか「サーバー」って何?

「サーバー」や「分散型」という概念について、先程はかんたんな説明だけにしておきましたが、ここでもう少し解説しておこうと思います。

TwitterやFacebookなど従来のSNSでは、誹謗中傷やヘイトスピーチなど、問題ある投稿への対処は運営会社が一手に行っていました。ルールを決めるのも、投稿の削除やアカウント凍結を行うのも、全てが運営会社に集中しています。いわば「中央集権」なのです。

人気のSNSは、どれもグローバル規模のサイトで、世界中で億単位の人が使っています。しかし、その膨大な管理を担うのはたったの一企業。これではバランスがとれていません。管理の人手は足りておらず、それが対応の遅れにつながる一因となってきました。

それに対し、Mastodonは、もっとずっと小規模な「サーバー」がたくさんあり、それぞれに管理人がいる、という構造でできています。これが「分散型」の意味するところです。

私は何も、Mastodonが完全無欠だと言う気はありません。ネット上に問題行為があるのは、それを行う人がいるからなのであり、そういう人がいなくならない限りなくなりはしないからです。しかし最低でも、Mastodonは、これまでのSNSで頭を悩ませてきた使いにくさやもどかしさを解決することには成功していると思います。それだけでも大きな一歩ではないでしょうか。

Threadsにとびつく前に知るべきこと

Threads(スレッズ)がリリースされると、たった5日で1億人を超えるという驚異的な伸びをみせました。読者の中にもアカウントを作った、使ってみた、という人がいるのではないでしょうか。私の周囲でも「始めました」という報告が一気にあふれたので、話題の沸騰ぶりを肌で感じます。

こうしてThreadsは、新しいSNSのなかでひときわ目立つ存在になりました。しかし、私はむしろ、だから別の選択肢を紹介すべきだと考えてこの記事を書いています。圧倒的なメリットがあるからです。以下ではその解説や比較をしていこうと思います。

次世代SNSは「フェディバース」の方向へ

Threadsはリリース時点から、Mastodonなど他の「フェディバースプラットフォーム」の人ともフォローややり取りを可能にすることを打ち出していました。

そして2024年3月、Meta社はとうとう実現にこぎつけます。そう、今ではThreadsアカウントからMastodonアカウントをフォローしたり、またその逆ができるのです。

Threads.netの説明画面
リリースされた直後のThreadsで表示されていた説明。2024年3月、実際に他のフェディバースプラットフォームの人ともフォロー等ができるようになった。

「これからどんどん便利になっていきますよ」という説明中で例に出しているのですから、Meta社がMastodonを強く意識している様子がうかがえます。ユーザーをとられたくない、という焦りが見えるようにも思います。

さて、ここに出てきた新ワード「フェディバース」とは何なのでしょうか? それをはっきりさせておきましょう。

「Fediverse(フェディバース)」とは、各サーバーが独立しつつも相互につながっている、その全体のことをいいます。上記で、Mastodonは宇宙にたくさんある星が互いにつながっているイメージだと言いました。このイメージで言うと、星=サーバー、宇宙=フェディバースです。

フェディバースのメリットは、別のプラットフォームともつながれることです。従来型のSNSだと、たとえばTwitterからFacebookのアカウントをフォローすることはできませんよね。いわば、閉じた世界だったのです。それが、フェディバース内では、Mastodonアカウントを持っていればThreadsのアカウントともつながれる、というように、プラットフォームの垣根がなくなるのです。

いま、SNSの次の形はフェディバースに向かっているといえるかもしれません。

Mastodonをおすすめする理由

フェディバース内では垣根がないとすれば、「ならThreadsアカウントを持っていればもう十分なのでは?」と思われるかもしれません。

ここでのポイントは、そのフェディバース内といえ、プラットフォームはそれぞれ違うということです。ならば、より良いプラットフォームでやっていきたいと思うのが自然ですよね。筆者が言わんとしているのは、Threads以外により良い選択肢が存在しているのだ、ということです。

「有名大企業=いいこと」ではない

Threadsは、Meta社の新サービスです。Meta社といえば、SNSの金字塔たるFacebookの創始・運営会社。アメリカの巨大IT企業「GAFA」の一社にも数えられます。世界的な有名大企業ですね。

リリースからたった5日で1億ユーザー突破と、Threadsは爆発的に広まりました。でも、使ってみた人からは「使いたいと思わなかった」「まだβ版のようだった」など不便さを訴える声が上がっています。私から見ても、Threadsにとりたてて優れたところはありません。

それなのに、Threadsが飛びぬけたのはなぜなのか。私は、世の中の様子を見ていると、やっているのが有名な大企業だから安心、という風潮があるように感じています。無名の企業はなんとなく不安でも、有名企業なら「しっかりできているに違いない」という気がしてくるもの。それに、グローバル巨大ITともなれば、話題や宣伝費も豊富です。「これに乗っておけばうまくいきそうだ」と将来性を感じるのも無理はないでしょう。

しかし現実には、有名企業・大企業であることは、モノやサービスが良いことに直結しません。むしろ、有名な大企業だからこそ、儲けを追求した果てに暗い不祥事を起こし、人や社会に害をなすケースは多々あります。

Threadsで勝負をかけるMeta社の過去と実情

Meta、旧Facebook社の過去をたどれば散々です。

2016年には、Facebookから流出した8700万人分の個人情報が、米大統領選で民衆の心理操作に利用され、白人至上主義者・トランプ元大統領を当選に導くのに大きな役割を果たしました。まるでSF映画のような話ですが、事実です。プライバシーへの懸念も深刻です。そもそも、大統領選で民衆の心理を操作できたのは、何という名前の、どこの、どんな人が、日々何を考えて暮らしているか、Facebookに背筋が凍るほど大量な個人データがため込まれていたからでした。

他にも、誹謗中傷やヘイトスピーチが氾濫しているのに対応が遅いこと、同社傘下のInstagramによる「SNS疲れ」や若者の心理に与える悪影響なども批判され続けています。

これだけ陰惨な事実を聞いてもまだ、Meta社のサービスは、安全で、安心で、将来性があって、信用できるでしょうか?

もっとも、社会からの批判にMeta社は反応してきましたし、マーク・ザッカーバーグCEOは幾度も公聴会で証言を行いました。しかし、同社に抜本的に変わったと言える要素は見当たりません。何を隠そう、Facebookが社名をMetaに変更したのは、Facebookの不祥事で社についた悪いイメージを煙に巻くためでした。FacebookもといMetaは近年下降線をたどっており、もがきながら打開策を模索しているのが実情です。

そんなMetaが世に放った新サービスがThreadsでした。運営体制が同じなのだから、またいつ同じような問題が起こっても不思議はないのです。したがって、今までのSNSが使いにくいし問題だらけだから新しいプラットフォームに移動したい、というなら、Threadsは適しているとは言えません。

従来型SNS運営のデメリット

SNSをめぐる問題を理解しようとする際、ポイントとなるのは、「運営はビジネスとしてやっているのだ」ということです。

FacebookやInstagramは、かつては誰でも投稿にアクセスできたのが、途中からログインしないと見られないようになりました。また、Twitterの仕様変更を振り返ると、自分の「いいね」したものがフォロワーに表示されるようになったのは、ユーザーからすこぶる不評でした。

なぜこのような、不便になるような変更が行われたのでしょうか。

今回は長くなるので説明は省きますが、SNSの運営会社がどうやって利益を出しているかといえば、彼らの収入源は、主にサイト上での広告表示やユーザーデータの販売です。したがって、運営会社には、できるだけサイトに人を集め、長くとどまらせたい、という都合があります。そのほうがユーザーにより多くの広告を見せられますし、よりリッチな行動データをとれるからです。

たとえ不評でも、運営会社にとって「お客様」は広告主です。ユーザーではありません。だからユーザーの利便性やプライバシー、安心して使える環境整備は優先されないのです。

オープンソース・分散型だから可能になったこと

その点、Mastodonは非商用のオープンソースソフトです。つまり、Mastodonを動かすソフトウェアは、誰でも無料で使っていいのです。このソフトに加えて他の設備をそろえれば(こちらにはお金がかかります)、誰でもサーバーを作ることができます。

なので、運営者はサーバーごとに様々です。現状、運営者の多くは有志の個人で、企業や団体が運営しているサーバーもあります。上記で3つ紹介したような信頼置けるサーバーにいる限りは、自分の行動データが知らぬ間に分析され、売りに出されるようなことはありません。

Mastodonは、運営企業のビジネスの都合がはさまることがないので、ユーザーにとっての便利さを優先することが可能になっているのです。

Mastodonの使いやすいポイント4選

そのため、Mastodonには、Twitter等では消えた、以前の使い勝手の良さが残っています。

まず、Mastodonではいまでも、「お気に入り」を押したときに通知される相手は投稿者だけです。他のユーザーやフォロワーに公開されることはありません。「お気に入り」には人目を気にすることなく、好きなものだけ、好きなように入れておくことができます。

全体を通して、カスタマイズの幅が広いです。例えば、「プロフィール編集」で「繋がりを隠す」にチェックすれば、自分のフォロー先とフォロワーを見られないように設定することもできます。また、「ユーザ設定」→「その他」には、公開タイムラインに表示される言語を選択するという項目があります。特に公式サーバーで始めた人の場合、タイムラインに出てくる投稿がほとんど外国語だということになると思いますが、それも日本語だけにするなど、自分で制御できるようになっています。

少しめずらしいところだと、Mastodonには古い投稿を自動で削除する機能があります。インターネットが定着して年数が経った昨今では、「何年も放置していた自分の投稿をたまたま見たら、恥ずかしくて身もだえした」といった話がよくあります。そのために「黒歴史を消すアプリ」とかも出回っていますね。もしこういうことが気になる人は、設定から「投稿の自動削除」をオンにして、数日なり、数ヶ月なり、数年なりが経ったら投稿が自動で消えるようにしておくといいかもしれません。

アカウントの中身や使い方を自分の好きにできる幅が広いのは、営利企業が運営するSNSでは実現できない、Mastodonならではの良さだと思います。

結びに―最善の選択・Mastodonにいざ来たれ!

以上、Mastodonの始め方と使い方の解説はいかがだったでしょうか?

従来のSNSへの問題意識の上に立ち、ユーザーのために作られたプラットフォーム。私が見る限り、ユーザーにとっての使いやすさとセキュリティ・プライバシーにおいて、Mastodonの上を行くSNSは見当たりません。これで全てが解決されるのだと大きなことを言っているわけではありませんが、現状においてはとり得る最善の選択だと思います。

確かに、巨大ITが運営するSNSは、商用には向いています。リツイートでキャンペーンに応募する、クーポンをもらう、大手メディアから情報を収集する……。「クーポンアプリ」や「情報収集ツール」だと割り切れば使えるでしょう。

しかし、人と交流するという本来の目的なら、最も安全かつよくできているSNSはMastodonだと私は断言します。

そんな目の前に転がっている優秀なSNSが、今後人々に選ばれ、影響力を持つためには、盛り上がりも大事になってくると思います。上記で解説したような「承認制アカウント(=鍵アカウント)」や投稿の公開範囲「フォロワーのみ」などを駆使すれば、ファンの交流など、ごく小さな閉じたグループ内だけで使うことも可能です。まずは知り合い同士でまとまって移行してみる、なんていうのもいいかもしれません。

モノやサービスが魅力的かどうかは、有名大企業のネームではなく、中身で判断するものです。もしごく気軽に「とりあえずThreadsを作った」というなら、「とりあえずMastodonも作ろう」と考えるよう強く勧めます。この先Meta社にため息をつくことはあっても、ビジネスの都合に振り回されることがない非営利プラットフォームに後悔する要素はないからです。

さぁ、読者のあなたも

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著者・日夏梢プロフィール||X(旧Twitter)MastodonYouTubeOFUSE

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(※性質上、この記事はアップデートされることがあります。記事公開:2023年7月23日、最終更新:2024年4月6日)

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